「ビンボー魂」を読んで

風間トオルさんの自伝的著書
「ビンボー魂」
を読みました。

風間さんといえば、トレンディードラマに出るようなイケメン俳優で、その幼少期がこんなにも貧困だったというのは大変おどろきでした。

実はネットからの情報で、風間さんの過去の話は大方知ってはいたのですが、改めて、この自叙伝的な本を読んでみたくなったのです。

一言でいうと、
この本には、風間さんの幼少期に経験した、様々な貧乏体験がつづられています。

例えば、
「お風呂がなくて、服を着たまま洗濯機の中に入って身体を洗った」
とか、

「食べるものがなくて、カマキリやアサガオの花を食べた」
などのエピソードは今でこそ笑って話せる部分もありますが、当時はトラウマになるほどつらい経験だったはずです。

ちなみに風間さんの家庭は、まず母親が出ていき、風間さんは父のもとに引き取られ、ほどなくして父親も出ていくという過程を経ています。
結果、祖父母に育てられながらの極貧生活。

それでも風間少年は、祖父母の気持ちを思いやり、貧困であることを祖父母に愚痴ったりすることもなく、工夫しながらモデルとして活躍するまでの間たくましく育っていったのです。

極貧状態の詳しい話は、本編である「ビンボー魂」に譲りますが、要はこの話で一番の問題は家族福祉です。

風間少年の両親は、結果的に風間少年を見捨てたわけですから、責任放棄です。たまたま風間少年のがたくましかったので事なきを得ましたが、一歩間違えば命を落としてしまうことがあったかもしれません。

家族の福祉がまったくといっていいほど脆弱化しているうえに、福祉制度も登場しません。

今のように情報が誰にでも取れる時代ではないので、生活保護を申請するという選択肢もとれなかったと思われます。

風間少年は祖父の介護までしていたとのことですから、状況的に見て保護に値する家庭環境だったというのは十分に考えられることです。

この本と趣旨がそれるので家族福祉や福祉制度のことは横においておきますが、現在、風間少年と似たような境遇にある児童がいたとするならば・・・・居ると思いますが・・・・ぜひ福祉制度が活用されることを願うばかりです。

縁あって形成された家族が、様々な事情によりバラバラになっていく体験は、子供にとって結構なトラウマです。

この本の内容は、貧乏でも工夫することで何とかなるというユーモアを交えた書き方になっていますので、心温まる話ではあります。
しかし、その背景には家族の脆弱さが描かれており、背筋が凍るような話でもあると感じました。これは社会福祉の本ですね。

ビンボー魂 おばあちゃんが遺してくれた生き抜く力 [ 風間トオル ]

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ