弁護士の相談利用が増えないのは何故か?
弁護士による訴訟案件は横ばい状態になっているといいます。
その理由は、
- 弁護士相談は1回30分5000円の相談が基本である
- 相談者側が必要証拠書類の用意しなければならない
- 30分以内に正確に相談内容を説明する力が要求される
- 「それは法的に難しい」といわれる
- 訴訟してもメリットがないといわれる
といったところです。
私自身、身内の交通事故処理で弁護士相談を利用したことがあるのですが、弁護士は実に事務的です。
限られた時間で弁護士としての回答をしなければならないので仕方ないのですが、相談する側からすると突き放されているような感覚になります。
正式に折衝を依頼したならば、テキパキと仕事をこなしてくれるですが、事前の相談の段階においては、あくまでアドバイスをもらえるだけです。
「こうしたほうがいいかもね」といったアドバイスにすぎません。
30分相談したところで、1つか2つのアドバイスを受けて終了です。
結局、お金を払って弁護士に依頼してやってもらうか、自分で法律を調べて解決するか、泣き寝入りするかの三択に迫られます。
法的に訴えるだけの利益があり、かつ訴訟に勝てる見込みがあり、さらに弁護士費用など諸々の経費を除いて費用対効果があるかを検討して弁護士に依頼するかどうかを決めることになります。
一方、弁護士側からすれば言い分もあります。
弁護士の訴訟案件が増えないのは、弁護士に原因があるわけではなく、法律の限界が存在するということです。
法律は万能ではなく、弁護士は法律を破るわけにはいかない存在ですので、仕方がない側面があるのです。
このような理由から訴訟案件が増えないのですが、弁護士はボランティアではありませんので収益を考える必要があります。
最近では有益な取り組みをしている弁護士事務所も出てきました。
それは、債務整理、交通事故、相続問題、残業代請求など、利益の取れそうな案件のみ無料で初回相談に応じるという取り組みです。
逆に「個人間で貸した金を取り返したい」など、利益の取れなさそうな相談は相談料をとる事務所が増えています。
弁護士を利用する側からすれば、差別されているようで憤慨かもしれません。しかし、結果的にこうした合理的な取り組みは無駄な相談を減らし、案件を掘り起こす効果も望めます。
弁護士がボランティアや社会正義で、困っている人のために働く正義の味方ならば相談件数は破壊的に伸びていくことでしょう。
しかし、それはあり得ない。大事件の裁判にかかわることで名声を上げるという利益のために動くことはあります。
それ以外はありません。なぜなら弁護士資格を維持するだけで弁護士会に毎年何十万も納入しなければならないのですから当然といえば当然です。
弁護士も社会福祉士もサービス業。
顧客は、潜在的には料金をできるだけ安くしてほしいと思っている。
もっといえば無料で利用したいというのが本音である。— SAM (@netdemoukeruSAM) 2018年12月30日
話は弁護士からそれますが、社会福祉の領域では、相談でお金を取るということは基本ありません。
間接的な税金や介護保険サービスの利用料などでお金をとっているともいえますが、基本的には相談は無尽蔵に無料です。
なので、地域包括支援センターなどには、相談が日々殺到しています。
相談と思いきや、ただの愚痴だったり、筋違いのクレーマーだったりということも多い。
しかも電話で名前すら名乗らず、業務妨害とばかりに延々と文句を言い続ける人までいます。
どこまでも相談無料というのは福祉の悪い部分が出てしまっています。
料金というハードルを一段設けることによって、より適切な相談を促す作用を期待できます。
税金や委託費という間接的な料金負担だと、どうしてもコスト意識が働ないと思うのです。
料金制が無理ならば、地域包括での業務をもう少ししぼらないと、結局何もできない相談だけの機関になってしまいます。
まとめ
潜在的に、相談者は相談に対してお金を払いたくないという意識があります。
そりゃ無料でやってくれればこんなありがたいことはありませんよ。
でも、そうしたくともできないので、弁護士相談は増えないということになっている訳です。