社会福祉士国家試験の後に考えなくてはならないこと
社会福祉士国家試験が終わって1週間以上が過ぎました。
合否は、厚生労働省などに、合格者の受験番号が掲示されますが、多くの人は、ネット上で結果速報を確認することになるでしょうね。
今は、スマホで確認する人が多いでしょう。
合格発表直後は、ネット回線が混雑して繋がりにくくなるので、その場合は時間をおいて何度も確認することになります。
私が受験した10年前は、個人的にスマホやパソコン持っていなかったので、図書館のネットを借りて合格を確認しました。
留年までして5年間の集大成が実った瞬間だったので、ほんとうにうれしかったのを今でも思い出します。
この喜びは、あなたにも経験していただきたいです。
そして、その喜びを忘れないでいて欲しいと思います。
ここが社会福祉士としての出発点になるからです。
もちろん不合格の場合は、最悪な気分となりますが、受験資格さえ確定すれば、あとは再受験のみです。
計画的に勉強できれば合格の可能性はあるといえるでしょう。
いずれにしても、受験生は、結果が出るのを、今か今かと待っているのが、この時期ではないでしょうか?
でも実は、ここでお伝えしなければならないことがあります。
ある意味合格者に対する警鐘といえる事実です。
それは、
試験合格後、一定期間だけ「有能感」に浸れる時期がある
という事実です。
それは、どういうことか?
- 難関を突破したという自負
- 国家試験合格による資格証明書という、目に見える形のあるものを手にした事実
これらのことから、自分が「デキルやつ」になったかのような感覚に陥る時期があります。
でも、それはほんの数ヶ月間のことだと思ってください。
もしくは、就職後、現場に出ることによって、もろくも打ち砕かれるものでもあります。
でも、心配は不要です。
それは、資格のある人には、誰にでも起こることですし、無資格の大先輩には、起こらないことなのです。
まさに、ここからが社会福祉士としてのスタートです。
「資格があるから何なんだ」
あからさまに、そんなことを言われることは少ないですが、今後は、そんな気になる、もしくは、そんな気にさせられることに遭遇することになります。
少なくとも、福祉現場に出たら、あなたは資格のことはいったん忘れて、現場のルールに従って働くことを余儀なくされるでしょう。
それはそれで仕方がない・・・
しかし、そのような不遇の時期を乗り越えれば、やがて実務レベルでの経験はついてきますし、そもそも実務レベルでの経験や実力は、実務の中でついてくるものなので、資格と実務を無理につなげようとしてもあまり意味はないです。
社会福祉士の資格は、実務に関係なく、生き方に違いが出てくることが重要なんです。
社会福祉のフィールドは、広いので資格の活かし方は、幅広い
夢や希望を壊すようですが、福祉労働者としての実務レベルの中では、正直言って資格のメリットは、あまりありません。
生活相談員、生活支援員、支援相談員など、それぞれの職名の業務範囲の中でがんばるしかありません。
現場は現場です。
法律や制度の最新情報については現場でも役立つものなので、その意味で資格は訳に立つといえるかもしれない。
でも、その程度です。
これは、社会福祉士に限らず、他の資格でも、名称独占のものについては同様にいえることです。
独立してこそ、または福祉労働以外の部分でこそ、名称独占の強味を発揮することができます。
こういうことを言うと、
「独立しないと資格は生かせないのか?」
と反論がきます。
もちろん、
- 就活の際に資格が切り札になった
- 資格手当を毎月数千円もらっている
- 名刺に資格名称をのせて肩書になり、信用度が高まった
上記のようなメリットはありますが、一労働者として、職場の強い制限に縛られている以上、独立した専門職としての判断はほとんどできないといっても過言ではありません。
雇い主の言うことを、資格を盾にして、まっこうから反論できますか?
ということです。
通常、そんなことはできないですし、することもないと思います。
虐待を隠ぺいしている職場を告発するために退職を覚悟して、反論するということはあり得ますが、それは例外的なことです。
もし、あなたに会社を辞めても生きていける力があれば、気持ちが自由になれます。
いざとなれば、組織を離れても生きていけるのですから、例えサラリーマンをしながらでも、独立や副業のことを頭の片隅に置いておくことをお勧めします。
十分な準備期間が必要なので、当面はサラリーマンとして頑張ることはもちろん良いのですが、準備だけはしておいた方がいいという話です。
「俺は、公務員として採用され、今後40年ひとつの場所で働き続けるのだ」
そういう人には縁のない話ですが、多くの福祉労働者は、いつか福祉労働の仕事を辞める日がくるのではないでしょうか?
そのいつかというのは、例えば20年先のことだとしましょう。
あなたは、20年後、今の職場、もしくはこれから就職する職場で働いていると思いますか?
試験が済んだばかりの人に言うのは酷ですが、現実的に考えてみてください。
20年後といっても、例えば、同じ福祉系で
- ケアマネの仕事に転じる
- 介護会社の経営者や施設長になる
そのようにキャリアを変えていく人は多いと思いますので、必ずしも福祉労働を引退することばかりとは限りません。多様な選択肢があります。
でも、かなりの確率で、先々、仕事を変える可能性は高いのではないでしょうか?
何故、私はこのようなことを言うかというと、
現場仕事で、体力や精神を消耗するような働き方を永続的に続けるのは難しいと感じているからです。
特に、直接支援系の福祉職は、加齢とともにきつくなってきます。
私自身、今の生活支援員や訪問介護の仕事は、正直言って肉体労働と感情労働そのものなので、いつまで続けられるかはわかりません。
体力があるうちはいいですけれどね。
要するに何がいいたいのかというと、社会福祉士の資格を活かす場は、労働者としての福祉現場以外に、そのメインステージがあると考えた方がいいということです。
年をとればとるほど、一福祉労働者として生きていくのがつらくなっていきます。
公務員で、年収600万を超えた辺りの人は、何とかやっていけるかもしれませんが、そういう人は少数です。
大半の福祉職は、経済的にはさほど報われず、転職・独立するか、福祉労働を続けながら別の仕事を掛け持つという選択をすることになるでしょう。
例えば、
- 就職した会社の社長や役員を目指す(出世する)
- 自ら福祉用具の会社を立ち上げ経営者になる
- 介護ロボットのビジネスを立ち上げる
一例ですが、このような選択肢であれば、結構ですし、望みが持てるかもしれません。
あるいは、福祉労働者として勤めながら
- 投資で利益を得る
- 成年後見業務の受託
- 福祉系の教員を勤める
- 書籍の執筆・情報発信をする
こうした副収入で経済的不足を補ってくこともよいでしょう。
ちなみに、最後の例は、NHKによく出る藤田孝典さん(社会福祉士)などが該当する事例です。本も結構売れました。
でも、現実によくいるタイプは、一福祉労働者であり続け、ひたすら日々の仕事に追われている社会福祉士です。
これは、ほんとにつらいし報われない。
あとは人権啓発的な活動しかしていない社会福祉士です。
社会福祉士というと「人権」というイメージがどこかにあるようです。
もちろん人権は大切ですよ。
でもそれは社会福祉士の専売特許ではないし、誰がやってもいいことなんです。
ひたすら労働者としての仕事に追われているだけの社会福祉士にしても、やっぱり誰がやってもいいことに時間を費やしています。
偉そうに言っていますが、かくいう私自身も、今勤めでやっている仕事は、誰がやってもいい仕事です。
それではまずいという強い危機感があるから、仕事以外では、ネットビジネスや投資を勉強していますし、情報発信にも力を入れています。
そのように言うと、社会福祉からどんどん遠のいている社会福祉士のように感じられますが、私の中では連結・両立している仕事です。
社会に貢献している事業を行う企業に投資をすることだって立派な社会福祉です。
福祉労働だけが社会福祉ではないし、そもそも仕事っていうのは、どんなものでも社会貢献だし、人のためになることなんです。
さて、話が長くなってしまったので、社会福祉士国家試験後に考えることの結論を述べます。
- 資格と福祉労働とは区別して考える
- 勤め人としての福祉労働をするならば、何歳まで勤めるのかを想定しておく(辞める前提)
- 必要な準備があれば、早いうちから時間をかけて実行しておく
上記の3つが、社会福祉士国家試験の後に考えなくてはならないこととなります。
一応述べておきますが、私は、福祉労働としての仕事を全て否定しているではありません。
あくまで先々の人生では、仕事を変えることが在り得るということをお伝えしたいということです。
人間は、誰しも年齢を重ねますし、考え方は進化しますので・・・・・
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