社会福祉士が介護職員初任者研修をとるべき理由
私は、これまで
- ヘルパー2級
- 社会福祉士
- 介護支援専門員
- 介護福祉士
の資格を取得してきました。
この中で、もっともコストパフォーマンスの高い資格は、
ヘルパー2級です。
今で言う
介護職員初任者研修
です。
受講すれば、ほぼ100%の人が、この資格を手にすることができます。
いわば、福祉業界の普通免許ともいうべき資格です。
私の場合、通信制大学に在学中、ヘルパー2級を取得し、訪問介護をしながら大学で勉強をしていました。
現場での介護経験を、レポートを書く際のネタとして使っていましたので、結果として非常にこの資格が役立ったと思っています。
後に、介護支援専門員と介護福祉士の資格を取得する際には、
訪問介護の経験を実務経験として一部算入させてもらって、受験資格を得ました。
ケアマネや介護福祉士の資格が、長期の実務経験を要するのに対して、
初任者研修は短期間の研修と簡単なテスト(ほぼ全員合格)のみでとれる資格となっています。
受験勉強は不要です。
「簡単に取れる資格は意味ないのでは?」
そう思う方がいると思いますが、実は介護業界では十分な資格といえます。
介護に向くか向かないかは、資格とは無関係ですから、あなたが介護業界で働く動機さえありば、特に問題はありません。
まったく無資格の人いるくらいですからね。
もちろん、将来的に現場で主任になるとか、責任者になるとかという際は、介護福祉士などの資格があったほうが、
- 社会的信用が高い
- 資格手当がつく
- ケアマネの基礎国家資格としての介護福祉士
などのメリットはあると思います。
その場合は、初任者研修を土台にして、実務者研修を受講し、ステップアップすればいいといえましよう。
一方、社会福祉士が初任者研修を取ることのメリットは、何でしょうか?
- 大学でレポートを書くときのネタになる
- 大学によっては、資格を単位として認定してくれる(日本福祉大学)
- 社会福祉士養成課程では学ばない、介護の技術的基礎が学べる
- 現場型相談員の場合、重宝されて就職に有利
といったものがあげられます。
最後の就職に有利という点に関しては、
「社会福祉士の資格よりも初任者研修の方が役立っている」
と言う、現場の社会福祉士は多く存在します。
私もその一人です。
社会福祉士なのに、介護現場で働いていると、どうしても、そうなってしまう側面があります。
でも、社会福祉士ならば、一度くらいは介護現場で働いた経験があった方が、後に相談員になったときの基礎教養として、必ず役に立つので、損になることはありません。
介護現場に入ったことのない相談員が介護相談をすることは、一般的に言って難しいです。
ここに異論をはさむ人は、あまりいないでしょう。
相談員として採用されたが、まずは現場になれるために介護現場に配属される
といったケースが多いのもうなずけます。
経験がない場合、そうならざるを得ないですからね。
私が、過去にほんの一時だけ勤めたことのあるディサービスでも、相談員として採用されましたが、初めは、当然のごとく見習いとして介護スタッフをしていました。
ただ、相談員の見習いとして、すでに就職している人が、施設などで介護をする場合、初任者研修の資格は、必ずしも必要はありません。
介護は資格でするものではないからです。
もし、職場に取得を勧められたら、取ればいいと思いますし、職場に研修制度があるなら、そういうのを利用してもよいでしょう。
しかし、これから相談員の見習いとして就職・転職しようという人にとっては、面接時のアピール材料にはなると思うので、初任者研修取得の検討をしてみる価値はあると思います。
私の場合、凝り性で、勉強しだすと最後までやらないと気が済まないたちでした。
なので、結局は介護福祉士まで取得してしまいました。
一度、妻に反対されて、国家試験を見送ったことがあるのですが、
- 「せっかく受験資格が取りそろったんだから受験しよう」
- 「試験制度が変わる前にとっておこう」
と思い直して、翌年、受験した次第です。
今では介護福祉士の制度が改正され、実務者研修の受講が義務づけられてしまいました。
これにより、初任者研修の価値が高まっているように思います。
実務者研修は、何十万単位の費用と、半年近くの学習が必要で、何日も仕事を休まなくてはいけなかったり、受講生の負担が大きいのは明らかです。
ちょっと前の介護福祉士は、実務経験3年と介護技術講習の受講だけで取れたので、今よりだいぶハードルの低い国家試験でした。
(介護技術講習は任意)
ところが、今は実務者研修の受講が義務となっていて、介護福祉士取得のメリットが、以前よりも低くなっています。
実際、今年の介護福祉士国家試験の受験者は、前回より半減しています。
これは、実務者研修という長時間研修が足かせになっているからといわれています。
その点、初任者研修は、数万でとれますし、基礎を学ぶには十分な内容です。
たんの吸引は、学べませんが、それは当面必要性低いですよね。
要するに、介護業界への就職において、過不足のない資格が、初任者研修という流れになっているように思うんです。
介護業界へのとっかかりとしては、十分ということです。
それに、
後々、必要ならば、職場に有給をとらせてもらって、実務者研修を受けて、介護福祉士を目指したって遅くはないのです。
もうすでに、制度は改正されてしまった訳ですし、今以上に、受験要件を厳しくすることは考えられません。(逆に要件を緩和する可能性はあり)
なので、社会福祉士が介護の仕事をはじめるうえで、賢い選択肢としては、
- 資格をまったくとらないで現場で学ぶ(職場の研修を利用する)
- 初任者研修を取得する
このどちらかだと思います。
あとは、それぞれが思い描く将来のキャリアに応じて、またはそれぞれの資格のメリット・デメリットに応じて、必要な資格や研修を検討すればいいとということになりましょう。
介護職を目指すのでない限り、資格は、基本社会福祉士だけで十分です。
ただし、資格のための受講や研修には、隠されたメリットがあるので、参考までに、1つご紹介しておきましょう。
それは、
受講先からスカウトされることがある
というメリットです。
私は、ある大手のヘルパー講座で受講したのですが、そのときスカウトされたのが、今勤めている(週1のパート)が訪問介護事業所でした。
介護講座を実施している会社の多くは、実際に介護施設を運営していたりします。
今も昔も、介護業界は慢性的な人で不足ですから、
働いてくれそうな受講生がいると、修了生に声をかけることがあるのです。
もちろん、全員に声をかけるとは限りませんが、その場合でも、就業先の紹介をしているケースは非常に多いです。
ちなみに、私の受講先では、就業相談会も実施していました。
他にもスカウトされる場面はあります。
初任者研修では、現場実習が任意となりましたので、必ずしも現場に行くことはなくなりましたが、コースによっては現場実習を選択制ですることもあります。
その場合は、現場の人からスカウトされるなんてこともあるし、そうでなくても現場の様子を知ることができる絶好のチャンスです。
求人票では分からない、生の情報が得られるので、機会があるならば、実習を受講するのも悪くないと思います。
ちなみに、
「スカウトされた」
なんて言うと、いかにも聞こえがいいですが、要は、
人手不足だったから声をかけられた
ということです。
でも、そういう申し出は、自身がいいと思えば利用すればいいと思うんですよ。
お互いが利用し合う関係です。
別に一生、そこの事業所に勤めなくちゃいけないということはありません。
1年で、辞めたっていいんです。
そういう人はたくさんいます。
円満退社すればいいだけの話です。
大学時代のバイトとして割り切ってもいいですね。
私の場合、結局は大学卒業後も、週1日のパートとして細々と訪問介護を続けることとなり、今や勤続15年です。
もう、いつ辞めたらいいのかわからないくらいです。
別に、勤務先の職場を賞賛するつもりはありませんが、流れでここまで来てしまいました。
さて、
長くなってきたので、話をまとめます。
要するに、社会福祉士を目指そうとする人は、基礎教養としての介護を身につけることが必要ということです。
メリットの一例
- 大学でレポートを書くときのネタになる
- 大学によっては、資格を単位として認定してくれる(日本福祉大学)
- 社会福祉士養成課程では学ばない、介護の技術的基礎が学べる
- 現場型相談員の場合、重宝され、就職に有利
そのための1手段として、初任者研修がある
というお話でした。