未経験者が生活相談員になる方法はこれ
「生活相談員になりたいけど、実務経験がないから採用されない」
このような声を聴きます。
特に、通信制大学や養成校を失業した社会人であったり、
年齢が35歳を超えているような場合は、この経験の壁にぶつかることは多いものです。
これから、未経験の人であっても、確実に生活相談員になれる方法をお伝えしますので、興味のある方は、読み進めてみてください。
ちなみに、ここでは、22歳の新卒の学生や、それに準じる方の就職については対象外としています。
なぜなら、新卒の若い方が相談員を目指すのは、基本的に所属学校から紹介された施設などに就職することが多いので、その場合は、配属された職場で最初から研修を受けながら相談員を目指せばいいからです。
なお、新卒であっても、相談員としての経験を積む前に辞めた方や、通信制の大学や養成校を卒業した方は、この話の対象者となりますのできいてくださいね。
第1ステージ(最初のステップ)
まず、前提条件として、
「生活相談に実務経験は必要か?」
という議論があります。
この場合、介護業務も含めて、福祉業界自体、まったくの未経験だとするならば、いきなり生活相談員は無理があるといえます。
社会福祉士の資格があるから、知識はあると考えがちですが、現場の知識と、資格の知識は、かけはなれているというのが実態です。
やはり現場のことは現場で覚えるという側面が強いのですね。
なので、福祉業界が未経験であれば、どんなに優秀な方であっても、まずは、介護スタッフから始めることをお勧めします。
または、相談員の補助であったり、介護職兼任の相談員バイトがあれば、それでもいいと思います。
「生活費のことを考えると、バイトでは無理」
という場合は、月給制の契約社員の介護スタッフや、正社員で介護の仕事を選んでもいいと思います。
ただし、いずれの場合も、最初の1年で、介護スタッフは辞めるつもりで勤めるということに注意してください。
職場の相談員が、たまたま退職し、あなたに後任相談員のオファーが来たらのなら、話は別ですが、そうでない場合は、1年たったら、別の職場に相談員として面接行くというのが前提となります。
1年間、研修をするのだという感覚ですね。
生活相談員の実務を間近で学ぶことが目的ですので、職場の種別としては、現場の相談員の仕事ぶりが近くで観られるような、小規模のデイサービスのような職場が望ましいでしょう。
特養のように、広い介護専用のフロアで、ひたすら介護をしていると、相談員の仕事があまり見えないことがあるので、職場選びは、その点に注意してください。
では、1年間、介護スタッフとして何を観察するか?お話しします。
以下は、生活相談員になるための第1ステップとなります。
ステップ1:人を観察する訓練
ここで言うところの「人」というのは、利用者であったり、その家族であったり、職員です。
相談員の仕事は、人を観る能力が大切なので、様々なタイプの人間と関わり、その対応の型を観察することが相談員として必要な経験となります。
時に、苦情をいってくる家族であったり、拒否のある利用者は、多くの学びを与えてくれます。
とにかく人を観察することで、どういう人か?を見極める習慣をつけてください。
アセスメントの練習になります。
- ネガティブなことばかり言っている人
- 裏表がある人
- 文句ばかりの人
いろいろな人間がいると思いますが、
要は、
「刺激に対してどう反応するか?」
これを予測できるように気を付けながら、人を観察してください。
別の言い方をすれば、
「この人は何を言えば、どう行動するか?」
「何をすれば、どう行動するか?」
ということを、できるだけ正確に予測できるようにするという訓練をすることです。
ステップ2:実務の手順をみておく
- 相談員の書く書類(介護計画など)の書式
- ケアマネから連絡があったときの対応
- 怪我などがあり、お詫びをするときの連絡方法
- 重要事項説明書(説明の仕方も含む)
これらのことは、相談員の仕事なので要チェックです。
仕事の合間を見て、書類を見せもらったり、サービス担当者会議に同席させてもらえる機会があれば参加して見学してみるのもいいです。
気づいたことは、メモし、相談員になったつもりで、考えましょう。
ステップ3:その他のこまごましたことを把握する
- 利用者の介助の手順
- レクリエーションのネタ
- 創作活動のネタ
- 入浴介助の順番や手順
- 送迎の手順
などなど、
些細なことであっても、詳細を把握することは相談員として有意なことです。
第2ステージ(次の段階へ)
上記のことを1年やったなら、次の職場を探すために、就職面接を受けましょう。
面接では、1年間行ってきたことを正直に話すことで、採用率は高まります。
特に契約社員の相談員は、運営者側としても採用しやすいので、ねらい目です。
では、これで相談員として、バリバリ仕事ができるかというと、
実は、もう一段階のステップを踏んだ方が、より確実に生活相談員に就職することができます。
それは、
相談員のバイトや契約社員として何とか採用されたなら、
そこからさらに1年間勤務する
という方法です。
これが実習の第2段階になります。
ステップ2-1:やってみて分かること
この段階では、経験不足からミスが起こったり、否定されたり、へこむことが多発することが予想されます。
スキルが身に付き始めたころに問題は起きるからです。
ミスをしたら、
「何故、ミスが起きたのだろうか?」
を自問して、改善するプロセスが大切です。
よくいう、PDCAサイクルというやつですね。
あるミスは、介護保険の知識が不足してたからかもしれないし、
人の話をとらえ間違えたからかも知れません。
そうした失敗は、ノートにメモし、次には、同じ失敗をしないようにするアイデアも使えます。
そうすることで、少しずつでも、ミスは減りますし、1ミリずつであっても成長していくことが可能です。
この段階では、職場の人から陰口を言われたり、ばかにされたりしますが、ここが踏ん張りどころです。
前の段階と同様に、どんなに職場が嫌になっても、1年は続けることをお勧めします。
次の、就職のためです。
逆に、1年たてば、いつでもやめて次に行ける段階なので、そこをよりどころにがんばるのです。
多少、ブラックな施設だったとしても、人間関係がひどかったとしても、
自分が怪我をしたり、だれかを怪我させたりするような事態にならないのであれば、多少は目をつぶることにしましょう。
1年の我慢です。
ステップ2-2:最終ステップ
ここまでくれば、あなたは、少なくとも、職場を2回選択していることになります。
複数の施設を見てきているので、退職者続出の施設が分かるし、
「自分に合った施設はどういうところか」
という、施設を見る目も養われてきているでしょう。
面接でいうべきことも、説得力が出てくると思います。
ここまでのステップは、いわば仕事内容の詳細を把握することと、就職するためのステップにすぎませんでした。
ですが、ここまでくれば、もはや就職の面接では余裕をもって挑むことができます。
あなた自身が、以前と異なり、仕事の知識もそれなりにある状態だからです。
まとめ
福祉業界では、転職が当たり前のように行われています。
一度や二度、職場を変えたところで、デメリットとはなりません。
なので、
勤めやすい介護スタッフから始めて、バイトや契約社員の相談員を経て、最終的に、希望の施設の相談員になる。
このステップは、無理なく未経験者が生活相談員になれる、かなり現実的な方法といえます。
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