福祉専門官って何ですか?
犯罪を起こして、刑務所に入る人の中に、知的障害や、認知症が疑われる人が多いのをご存知ですか?
出所後、すぐに再犯で刑務所に戻る人が多い。
通常ならば、福祉制度や親の保護を受けている人が再犯で刑務所に戻ることはないです。
善悪の判断ができなくても、保護されていれば、間違った方向に行くことを防いでくれるからです。
でも、出所後、孤立無縁ならどうなるでしょうか?
自分で仕事を探して、住むところを確保して、自立した生活が可能でしょうか?
保護や支援がなければ、また同じことの繰り返しです。
でも、全員が保護を受けられていない現状があるのです。
そもそも育った環境が劣悪だったり、福祉制度の谷間に落ちてしまう人は、いつの社会にも一定数必ず存在します。
いま、社会福祉士が、こうした人達に対する支援の役割を担うべきという気運が高まっています。
福祉専門官という職名です。
昨年あたりから刑事施設に雇用される社会福祉士が出てきました。
社会福祉士の専門性が認知されはじめたことの証明です。
ここでお伝えしたいのは、刑務所が福祉施設だってこと。
それも究極のね。
理由は、絶対に拒まない福祉施設だからです。
例えば、特別養護老人ホームは、満員だからって入所を断られたり、順番待ちが100人なんてことがありますよね。
これって、やむを得ない理由かも知れないけど、拒否であることに違いはないです。
ところが、刑務所は絶対に利用者を拒まない。
というか拒めない。
刑務所も混んでいますけどね。
裁判の判決で決まったことは、必ず執行されます。
究極の福祉施設たるゆえんです。
今までは、そこに福祉の専門職がいなかった。
おかしいですよね。
だから、社会福祉士は、今後も司法福祉の一旦をになうべく、その専門性を発揮していくことが期待されている訳です。
介護保険制度が始まってからの福祉専門職労働は、どちらかというと、サービス提供者としての色彩が強かった。
例えば、デイサービスの相談員は、利用代金を支払う利用者が、サービスを適切に受けられるようにする役割を担っていました。
営利を目的とする組織が運営する施設の中には、相談員が営業マンとなっていることさえある。
でも、刑務所を出所した人の支援をすることは、意味合いが随分と異なる。
利用者は、支援者に対して、利用料を払っている訳ではありません。
利用者から支援してくれと依頼された訳でもありません。
実は、日本版socialworkerである社会福祉士は、これまで福祉制度の中で動き回っていました。
これからは、福祉の枠を超えた領域に出ていくことが社会的評価を高めるカギになるといえます。
福祉専門官を目指そうという人は、法律の勉強をしておくと役に立ちます。
民法と刑法は一通りしっておくのがベストです。
学生時代に、法学を勉強した方はいると思いますが、その程度ではちょっと弱いです。
でも、大学院にいって法律を学べとかいうのは必要ありません。
あらたまった専門書を買わなくても、まずは厚生労働省や法務省のサイトをくまなく読んでみるだけでもかなり勉強になります。
サイトを見るうちに、分からない用語があったらググってみます。
大事なことは、法律の用語を暗記することではなく、現場においての共通用語を理解することにあります。
それから、障害者の生活再建を組み立てるうえでのプランを立てられるように各連携機関の特徴や、法的な位置づけを今一度確認しておくことが求められます。
福祉専門官は、あくまで福祉の専門家として活動することが求められますので、法律と福祉の境界線のあたりを意識するようにします。
福祉施設に関連する法律にも目を通しておくと、調整の際に役立つでしょう。
捕捉情報
福祉専門官は、常勤、有期雇用の仕事です。(3年くらいが多い)
給料は、20万円代から、30万円前半くらいの募集が多いです。
基本的に、残業はなく、日中の仕事です(残業があっても超過勤務手当は出る)。
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