介護離職の根本原因は、介護職員の離職だ
次の文章は、厚生労働省のサイトからの引用です。
事業主の方へ
経験を積んだ熟練従業員や管理職など企業の中核となる人材が、仕事と介護の両立に悩み離職してしまうことは、企業にとって大きな損失です。
離職する従業員や心身ともにストレスを抱える従業員が増える前に、仕事と介護の両立支援の取組をはじめることが必要です。
私が思うに、企業が、仕事と介護の両立支援を実現するためには、次の方法がある。
- 企業内での職業教育の改革
- 業務分担の仕組みづくり
- 介護休業制度などを取りやすくするための企業風土づくり
要は、職場において介護をしていることを言いやすい環境にすることが大切なんです。
管理職がいなくなると、職場が回らなくなるっていうのはまずくて、補佐できる人材を育成しておくことが介護離職軽減につながります
。
事業主さんには、ぜひ声を大にしていいたいところです。
でも、現実には、
たとえ親の介護が理由であっても、仕事を休みづらいのが中小企業の実態。
休んでいる間に代理で業務をこなしてくれる人がいればいいけど、そう都合よくはいかない。
そもそも十分な人員体制で業務をこなしていないところが多いからです。
管理職としての自分のポストだけは維持しながら、頻繁に休むというのは、短期間ならば理解されても、長期は無理だと思ってしまう。
介護って、いつまでに終わるかわからない側面があるからです。
もしかしから、何年も続くかも知れないしね。
明治安田生活福祉研究所の調査によると、転職者・介護専念者の5割強が、介護開始から1年以内に離職していると報告されている。
最初は、会社に内緒で介護と仕事の両立を目指していたとしても、すぐにそれがきつくなってきます。
仕事で、一日8時間から10時間働いて、その足で帰宅して食事の準備や家事、排せつ介助などをこなす。
これはやってみると、本当にきついです。
仕事を2つ掛け持ちしているような状態です。
職場の理解がなかったら、両立は続くわけがありません。
ところが、会社に理解を求めたところで、多くは否定的な反応が返ってきます。
会社は、あなたの家族の介護のためにある訳ではないという価値観があるのです。
介護離職は、形式的には、自己都合退職になっているけど、実際には会社から退職を勧告されて辞めたものが多いと容易に予想できる。
会社は冷酷なもので、社員が介護の悩みを打ち明けたとたんに冷酷な態度をとる。
中には、あからさまに退職勧告された人もいます。
労働者は、こうした会社の反応がわかっているから、最初から介護休業を申請することもなく退職を決意している人がいる。
「なんとしても、会社に残って介護をつづけていくぞーっ」
って人は少ないんですね。
加えて、労働者の側の「介護できるのは自分しかいない」という使命感の強さも半端ないものがある。
もちろん実際に、辞めるしか選択肢がないケースもあるのだけど、家族への強い思いから、専業での介護を望み、他の道はないと思い込んでしまいます。
介護離職の背景には、このような意識が水面下にある。
そこを変えることが大切なんだけどたにも問題はある。
それは、再就職です。
紆余曲折あって、介護が終結し、さあ再就職となったときが大変なんです。
ハローワークで就職活動をしたことがある方は、分かると思いますが、転職や再就職は、ほとんどの場合、収入が下がります。
労働条件も以前の職場と、似たり寄ったりか、悪くなることが多いです。
そもそもら前職の経験を活かす場がないなんてこともあります。
正規職員だった人が、アルバイトしか見つからないなんてこともあります。
実は、介護離職者の中には、若者も含まれているのをご存知ですか?
- 若年性認知症になった母親の介護をするために、就職したばかりの会社を辞めざるを得ない若者
- まだ学生の子供が難病の父親を介護するために退学するケース
こうした若者が親の介護に専業したり、アルバイトしかできない状況というのは、キャリア形成上問題だとされます。
若者だからといって、転職市場は厳しいものがあります。
これだけ人で不足の社会なのにです。
アルバイトや非正規なら山ほど仕事はありますが・・・・
じゃあ、要するに介護離職はしちゃだめなのかというと・・・・・
私だっから
会社によるな
って考えます。
もし勤めている会社が、まったく理解のない、ダメ会社なら、辞めるべきです。
無理な両立をして、身体を壊すよりも、家族思いを優先させた方がずっといいからです。
でも、アプローチ次第でわかってくれる会社であれば、介護サービスを利用するなど、両立できる第三の案があるかも知れません。
まずは、会社に報告することが第一ですよね。
会社に言ってみたら、意外にも慰留されるかも知れません。
その時は、どうすれば勤務を継続できるかを会社に提案してみましょう。
少なくとも、だまって退職届を書いてしまうというのは、お勧めしません。
言ってみないとわからないじゃあないですか
結果的に、出世に響いたっていいじゃないですか。
皮一枚で首がつながっている方がいいかもです。
手は尽くして、そのうえで辞めても遅くはないです。
退職する場合の検討すべき一番のポイントは、ファイナンシャルなことだと思います。
収入が減ってしまうことで、生活が成り立たなくなる状況をなるべく避ける。
介護者の収入や、要介護者の年金などをよく吟味して生活の見通しを立てることが肝要です。
現政権は、介護離職ゼロを目指し、仕事と介護が両立できる社会を実現するとしています。
その対策のひとつが、特別養護老人ホームの増設です。
これまで在宅にシフトしていこうとしていたのにここにきて施設増設です。
これって驚きの施策ですよ。
新設の特養って個室が原則なのですが、これって実は結構な費用がかかるんですよ。
特養は安く入れると思ったら、有料のホームと大差ない利用料がかかってしまう。
これでは、誰かが離職して専業で介護した方がコスト的にいいと思ってしまうかもしれない。
でも介護離職の問題では、何よりも大事なことを忘れていますよ。
それは、介護人材の問題です。
今、かつてないほどに人材の流出がとまりません。
理由は、
- 賃金が安い
- 夜勤などの過酷な勤務形態
- 利用者の暴言・暴力にもとづく感情労働ゆえのストレス
理由は、他にもさくさんあります。
ご存知の通りです。
皮肉にも、現政権が景気対策をすればするほど福祉の仕事から離れていきます。
とどめを刺すように介護報酬改定が下げられました。
経営が悪化する施設は増えています。
介護職員の給料アップは絶望的になりました。
いったい何を目指しているのか?
ちなみに、介護職員も介護離職をしています。
一般的な介護離職と異なることは、離職してもあまり惜しくないというところです。
年中人材不足の業界なので、望めばいつでも復帰できます。
給料は、もともと安いので再就職でも大した差はありません。
でも、制度改悪によって、これ以上の待遇悪化が続けば、もう誰も介護業界に戻らないと思いますよ。
介護離職ゼロを目指すならば、、介護職員の離職ゼロを考えるべきです。