福祉の仕事は辞めた方がいいですか?

辞表

「社会福祉士を目指すならば、一度は介護の仕事をしておいた方がいい」

というのが私の考えです。

介護など、人に関わる仕事は福祉のベーシックであるし、何より現実を知るためにも必要です。

よくある質問に

「社会福祉士は介護をしなきゃいけませんか?」

ってのがあります。

福祉の仕事は辞めた方がいいですか?

これは、介護に対する抵抗感からくる質問です。

気持ちはわかります。

介護は、

  • 人の排泄物をつかむ
  • 暴言をはかれる
  • 暴力をうける

ことがあるからです。

加えて、低賃金です。これが辛い。

このような仕事に就くと、精神力が鍛えられます。

例えば、次のような場面を想像してみてください。

認知症の利用者に対して、排泄介助をしようとしました。
利用者は、強い拒否のある方です。
職員が排泄介助の前に声かけをして、ズボンを下げようとすると利用者は職員を叩きます。
利用者からは、
あんたは誰よ。警察を呼ぶわよ。
このへたくそ
だれかきてー

など、激しい抵抗の言葉が続きます。

このような状況を、はたからみたら、虐待だと思われる方がいるかもしれませんが、介護業務ではありがちな場面です。

もちろん利用者が混乱のないような形で排泄介助をするための工夫と改善の余地はありますよ。

ですが、激しい抵抗があるといっても日常業務である排泄介助をしない訳にはいきません。

叩かれ、怒鳴られながらも、業務を進めなくてはならないのが介護職員です。

このとき、利用者は、感情的にストレスを感じています。

利用者の立場になれば当然です。

しかし、職員にも感情はあります。

なにも利用者をいじめようとしているのではなく、仕事としてしている訳です。

そこでは、感情をコントロールする必要があります。

介護職は、「感情労働」です。

感情のままに、言動を表すのではなく、むしろ逆の言動を表出するようにします。

例えば、暴言を吐かれても嫌悪の表情は出しません。

怒りにとらわれると、介助動作が雑になるのが普通ですが、上手く感情をコントロールできる職員は介助動作が丁寧で無駄がありません。

もちろんストレスは確実にかかっているのですが、その場では感情に左右されずに済ませるのです。

経験の少ない職員ほど、ストレスと反応の差が短く、ベテランは勤務終了後にストレスを感じます。

ここで重要なことは、例えベテランの職員でもストレスは感じるという点です。

慣れれば、何も感じなくなるなんてことはありません。

10年近くやっても慣れません。

ストレス‎は確実に蓄積してきますので、次は、それをどう解消していくかということが課題になります。

方法としては、オフの日に趣味を満喫することであったり、遊びに行ったり、飲みに行ったりというのがあります。

これでストレスを解消できる人は、仕事を続けることができるでしょう。

でも、難しいのが現実です。

根本解決じゃありませんからね。

そもそも介護職員は、勤務時間が長すぎるし、休みは少ないし、不規則だし、遊びや趣味に使うお金がありません。

休日は、ずっと寝ているという人は多いです。

どんなに精神的にタフな人であっても、報われない労働環境がある限り、仕事を辞めたくなる時がきます。

よく「やりがい」があるから、この仕事が好きっていう職員がいます。

この言葉が出た時点で、ストレスを感じているのがわかります。

本当に好きなことをしていたら、やりがいなんて考えません。

やりがいがあると思い込むことで、日々の業務を何とかこなそうとしている姿が浮かびます。

利用者から「ありがとう」といわれるとやる気が出る。

この言葉も実は危険で、現場の矛盾を言い表していいます。

介護現場は感謝の言葉だけがあるのではなく、暴言や虐待、誹謗中傷、いじめといったネガティブな要素も当然にあります。

介護業界の外にいる一般の人は、こうした闇の部分は見えません。

Sアミーユのような虐待事件が報道されると、びっくりしてしまいます。

じゃあ、結局、介護の仕事は辞めた方がいいですか?

といわれれば、「そうですね」と答えます。

止めるではなく、辞めるです。

つまり、今介護職をしている人は、経験を積んだら、次のステップに行くべきだということです。

しっかりと準備をして、ステップアップするべきです。

ステップアップって、施設のリーダーになるとか、サービス提供責任者になるとかだけではないですよ。

  • 資格をとってケアマネになる
  • 社会福祉士をとって相談員になる
  • 営業職になる
  • 資格をとって、看護師・理学療法士などの医療職に転職する
  • 起業する

これらは、みなステップアップです。

「そんな簡単に転職できる訳がない」

多くの人は、そのように考えます。

確かにそれはそうかも知れません。

でも、逆に介護業界に居続けることには耐えられますか?

50歳を過ぎても、今の職場で働ける自身がありますか?

どんな仕事であっても、数年間準備してから始めれば上手くいく可能性が出てきます。

介護を3年やって介護福祉士になるのと同じです。

あなたにその仕事をしたいという想いがあるなら、道は開けます。

「経験がないのに雇ってくれやしないよ」

「年齢で面接を落とされる」

そういうことが気になる人は、自分で自分を雇うという選択肢があります。

つまり、個人事業主になることです。

あなたは、あなたという人を採用しますか?

何で稼いだらいいのかわからないのであれは、今から準備すればいいのです。

気を付けることは、借金をして商売をしてはいけないということだけです。

バクチのようなリスクを負わなくても、稼ぐ方法はあります。

ネットビジネスや士業のような資格ビジネスもリスクは少ないです。
準備は必要ですよ。

大きな借金をしないで、小さなビジネスを起こし、小さな失敗を経験しながら大きくビジネスを育てていくのがお勧めです。

雇われる方が向いている。だけど転職できないと思っている人は、まず辞める前に内緒で面接にいってみたらどうでしょうか?

不採用とは限りませんよ。

今は、様々な業界で人手が不足しています。

いつまでも安い介護業界で雇われているのと、異業種で仕事を始めるのと‎、収入はさほど変わらないんじゃないですか?

異業種を目指して、失敗して、やっぱり介護に戻りたいって、もし思ったなら、その時は戻れます。

だから辞めたってプラスマイナスゼロに戻るだけです。


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