相談援助の理論と方法(第28回問題105)

発達障害に関する事例問題の解説です。

解説動画はこちらです。

第28回社会福祉士国家試験 試験問題「相談援助の理論と方法」

問題 105 事例を読んで,B社会福祉士がモニタリングの後に行うべきこととして,適切なものを 2 つ選びなさい。

〔事 例〕
C君( 7 歳)は,軽度の発達障害がある。友達とうまくコミュニケーションをとることができず,他の児童との良好な関係を構築することが難しい状態である。両親は,このまま小学校に通学させることに対して不安を持つようになり,Y児童発達支援センターの放課後等デイサービス事業を利用することとした。児童発達支援管理責任者のB社会福祉士が,C君とともに作成した支援計画で「友達に対して挨拶ができる」を短期目標とした。今月,この計画作成時に定めた期間を迎えたので,定期モニタリングを実施したところ,挨拶ができていないことが分かった。その理由をC君に尋ねたところ,「あいさつはいや」と答えた。

  1. C君とC君の友達との間に問題が生じたと考え,C君の友達に指導を行う。
  2. 「あいさつはいや」と答えたC君の真意を尋ねるとともに,必要に応じて支援計画の再検討を行う。
  3. 想定した短期目標を達成していると考え,当面の間,現状の支援を継続する。
  4. 改訂長谷川式簡易知能評価スケールにより,発達障害の程度を確認する。
  5. 挨拶はできていないが,それを失敗とするのではなく,引き続きC君を見守るよう,両親に働きかける。

(公益財団法人社会福祉振興・試験センターホームページより引用)

解説

  1. C君の友達は支援対象者ではない。また、C君の友達が、発達障害のコミュニケーション特性を理解できるかは不明である。
  2. 「必要に応じて」は便利な言葉
    モニタリングの結果「友達に挨拶する」という目標が不適切ならば、目標の再検討もする。
  3. 短期目標は達成していない。
  4. 改訂長谷川式簡易知能評価スケールは認知症のスクリーニングに使用されるものである。
    問題の趣旨からいって、発達障害の程度の厳密さが問題なわけではない。
  5. 現実的には、何の解決策にもなっていないが対応としては問題ない。
    発達障害のある児童の支援には、時間がかかり、早急に結果を出そうとすることはなじまない側面もある。

間違った選択肢に気付くためのポイント

4の選択肢は、B社会福祉士の職名が、児童発達支援管理責任者という名称なので、評価スケールにより,発達障害の程度を確認するように思えてしまうかも知れないが、よく考えるとこれはおかしい。

児童発達支援管理責任者は、放課後等デイサービスの開設・運営において、ひとつの施設について、1名配置することが定められている施設の責任者名である。

障害児支援に関する専門的な知識と経験及び個別支援計画の作成・評価などの知見と技術が必要であるとされているが、選択肢4のケースでは、発達段階の程度を問題とするのではなく、なぜ「あいさつはいや」と答えているかの思考過程が求められることに留意する。


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