社会福祉士レポート実例(心理学研究法-設題1)
社会福祉士のレポート作成にお悩みの方へ
実際のレポート作成例をここに提示します。
この科目は、社会福祉士と同時に、認定心理士のコースをとっている学生ならば必修の科目となっております。
心理学の研究法を学ぶ専門的科目であり、難易度の高い科目の一つです。
ポイント(学習ガイドより)
心理学をはじめとする人間科学の研究法として、面接法、質問紙調査法がある。それぞれの方法の特徴や問題点、準備・実施上の留意点などについてまとめること。
科目概要(学習ガイドより)
心理学の主要な内容とも言える感覚・知覚・学習・認知・人格・社会について、実験・調査などの研究方法を学ぶ。一般的に心理学の研究では何のために研究するのか研究の目的をはっきりさせ、その方法を考え、その結果を分析していく。本科目では、それらの技能を身につけさせていくことを主要な目的としている。また、結果の分析にあたっては、統計学の知識、コンピュータリテラシーも必要であり、その習得も併せて目指す。さらに、それらの研究法に内在する問題点も検討する。
設題1
「心理学の研究法のうち、面接法と質問紙調査法について述べなさい。」
心理学の研究法としての観点から、面接法と質問紙調査法について以下に述べていく。
1.面接法について
面接法は、目的を持って面接者と被面接者が直接に会って話をするものである。互いのコミュニケーションを図りながら、より深いレベルで被面接者の心の内面を捉えようとし、研究に必要なデータを収集しようとするところに、その特徴がある。方法としては、実施の仕方によっていくつかの種類がある。
面接者と被面接者が、一対一で行う面接を「個人面接」、グループで行う面接を「集団面接」という。被面接者の内面深くにある動機・欲求などを探るための面接を「深層面接法」、被面接者の意見・情報・意識などを知るための面接を「詳細面接法」という。
また、面接の構造という特質からいえば、被面接者に対しての質問事項、言葉遣い、面接の流れなどがあらかじめ決められている面接を「構造化面接」、面接者の使用する面接技術や質問の内容・順番などが形式化されていない面接を「非構造化面接」という。そして、両者の特徴を兼ね備えた「半構造化面接」などがある。
これらの面接法における問題点としては、主に次の2点を指摘することができる。
第1の問題は、面接者の面接技術の良否や面接者のパーソナリティによって被面接者の回答結果が変化する可能性が高いという点である。面接技術には、ロジャースのカウンセリング理論に基づく「非指示的アプローチ」「無条件の積極的関心」「共感的理解」や、アイビイの「基本的関わり技法」などがあり、いずれも熟練が要求される技術である。しかし被面接者によっては、こうした技術も全く歯が立たないこともある。例えば、面接者の容姿・性別といった、技術以外の要素が被面接者に偏見を与え、それが回答に影響を及ぼすケースである(面接者の外見は被面接者にとって平均的であるのが望ましいとされる)。
第2の問題は、時間やコストがかかるために、一斉に大量の対象者(被面接者)からの情報を得るのが難しいという点である。
これらの問題を完全にクリアするのは容易ではない。しかし、面接における準備・実施する上での留意点を励行することで、より科学的で妥当性のある面接に近づくことは可能である。
まず、準備については、⑴被面接者が落ち着いて話しができるように面接場所には静かな場所を設定したり、⑵被面接者の発言を記録する際に重要な発言を聞き漏らさないために性能の良いテープレコーダーを用意したり、⑶経験の少ない者を面接者として選定する場合には、面接者に事前の訓練をしておくなどの準備が必要とされる。
そして、面接者が、面接の実施に際して行うべき重要なことは、面接者と被面接者の間の信頼感(ラポール)の形成である。被面接者にとって面接は匿名性がないだけでなく、ときにはプライバシーに関わることを問われる煩わしさがある。そのためラポールの形成に失敗した場合、面接者は、被面接者から本当のことを話してもらえる可能性が低くなってしまうことになりかねない。
そのような事態を招かないためには、⑴面接導入時に調査の主体や面接の趣旨説明をする、⑵被面接者に対して回答内容の秘密保持などを確約する、⑶テープレコーダー・VTRなどの記録装置を使用する場合は、被面接者の同意を得た上で使用するといった点に留意して面接を実施することが重要である。
2.質問紙調査法について
質問紙調査法は、多数のデータを短時間で手に入れ、客観的分析を試みることによって心の内面を幅広く捉えようとするものである。調査者の作成した質問紙によって、人間の意識や行動に関するデータを回答者の自己報告に頼って、組織的に収集するところにその特徴がある。
質問紙調査は、時間的・経済的コストが比較的少ないため、安易な研究法であると思われがちだが、万能の調査法ではなく、問題点もある。
第1の問題点は、調査事項を捉えるための質問項目が盛り込まれないままに調査を実施してしまうことが多い点である。
第2は、調査によってデータを得ても質問方法や回答方法が使用すべき分析方法に適していないことから、分析が困難になることがある点である。
第3は、質問の読み間違えなどによる誤答をチェックすることが難しい点である。
質問紙調査を準備・実施する上ではこれらの問題点に留意して取り組まねばならない。
まず、第1の問題点については、調査者は事前に調査の目的と分析計画をしっかりと立て、問題を整理しておく必要があるといえる。例えば質問項目は、思い付きで作成するのではなく、まず知りたいことを言語化しておくなどの準備をしたり、過去に同じ領域で行われた研究や、新聞・雑誌などを参照したりするとよい。また、調査対象と属性が類似している集団に対して予備調査を行って、情報を集めておくことも有効なことである。
次に、第2の問題については質問方法(質問文)の作成が鍵となる。質問文を作成する際は、⑴平易で短い文章にする、⑵一つの質問内に二つの論点が並列している「ダブルバーレル質問」を避ける、⑶先行質問が後続質問の回答に影響を及ぼす「キャリーオーバー効果」の質問を避けるといった点に留意する。
また、質問票を構成する際は、⑷質問の意図が見破られ過ぎても、意図が分からな過ぎても回答に影響を及ぼすため、質問項目の配列に留意することが大切である。
回答方法については、⑴選択肢の中からあてはまる回答を一つ選ぶ「単一回答法」、⑵回答を複数から選ぶ「複数回答方法」、⑶回答欄に自由に記入できる「自由回答法」といった多様な回答形式の中から、調査に使用すべき分析方法として最も適切な方法を選択することが肝要である。また、⑷名義・順序・間隔・比率といった回答尺度(後者ほど数学的加工が容易)としての要素にも留意する。
第3の問題については、調査者が直接調査対象の所へ出向いて質問内容を説明する「構造化面接」の形式にすることで、誤答を減らし、良質な回答を得ることができる(ただしコストは増大)。
このようにして質問票が完成したら、次は調査の実施法を決めなくてはならない。例えば、郵送で質問票をやり取りする「郵送法」にするのか、調査者が質問票を持参して調査対象者に記入してもらってから後日回収する「留置法」にするのか、あるいは電話で質問する「電話インタビュー」にするのかといったことである。それぞれの方法には一長一短があるので、調査法を実施する上では、ここでもいかに調査目的に合致した方法を選択するかが問われるのである。
3.まとめ
心理学研究法における面接法と質問紙調査法は、主に言語を媒介として人の心の内面を解明しようとする点で共通している。ところが言語構造そのものは不完全である上に、人間は感じたことを常に正確に言語化できる存在でもない。この点を考えると、面接法と質問紙調査法における完全な方法論は存在しないという結論になってしまう。
しかし、被面接者・調査対象者の協力、研究者の弛まぬ努力、さらには研究者の被面接者・調査対象者に対する誠実な姿勢が強く存在するならば、多くの問題点を最小限に抑え、有意義な研究が可能となるというのも、また事実であるといえるだろう。
【参考文献】
- 高橋順一、渡辺文夫、大渕憲一編著『人間科学のための研究法ハンドブック』ナカニシヤ出版、2001年
- 続有垣、村上英治編著『心理学研究法 第9巻 質問紙調査』東京大学出版会 1982年
- 続有垣、村上英治編著『心理学研究法 第11巻 面接』東京大学出版会 1983年
■■レポート通信課題で完成間際になって、アタフタすること■■
学習ガイドにある、ポイントと設題を見ると、実に多くのことを学生に要求しています。
私は、この科目の設題を設定した人は、実際にレポートを書いていないのではないかと思いました。
書くべき事柄が多過ぎて、詰込みのレポートになるのが目に見えています。
何とか書き上げたものの、駆け足の説明文が続き、最後のまとめのところで強引に締めくくるようなレポートになりました。
実は、最初に書いたレポートの下書きは、完成版の約2倍の文章量がありました。
その下書きは、文字を削り、説明を端折り、具体例を削除して、ようやく3200文字程度に収まりました。
実例の文を見ていただくと分かりますが、
○○については、⑴△△、⑵□□、⑶××などがある。
といった書き方をしています。
これは、文章量を削減するためです。
大学によっては、2000文字程度でまとめるところもあるので、その場合はさらに削らなければなりません。
粗削りの下書きレポートを指定文字制限内に収めるときには、削れる部分と、削れない部分を見極めながら編集作業をしていく必要があります。
うっかり重要な部分を削除してしまうと、レポート課題のポイントや設題を満たさない事態になってしまいます。
文章を削除しているときに困るのは、内容的には、もう削れないのに、まだ文字数がオーバーしている場合です。
あと何文字削減すればいいのかにもよりますが、何百文字も減らそうとするならば、すでに書いた部分の表現を短い表現に書き直したり、段落ごと要約したりする編集作業が必要になってきます。
そうなると、これが結構時間かかるんです
へたに書き直すと、全体のバランスが悪くなったりもします。
なので、できるだけすでに書いた部分は書き直しをしないで、文字数を減らすための小手先のテクが
漢字表記の見直しテクニックです
漢字表記を使うことによって、僅かですが、数文字を削減できます。
そして改行ポイントが文の折り返し地点ギリギリのところで可能となり、結果的に文字制限をクリアできることがあるのです。
例を示すと
したがって
と表記するところを
従って
と漢字表記にすることです。
2文字削減できました。
「したがって」にあたる言葉は、レポートでは割と多用します。
「従って」は3文字ですが、これでも長いときは、
「故に」
とすれば、2文字で済みます。
なんだか、すごい小テクのように見えますが、指定文字数ぴったりににレポートをまとめるのは、飛行機の着陸操作のような難しさがあり、有効なテクです。過去に私は、何度もこのテクを使用してレポートを仕上げています。
特に、提出期限が近づいているのに、完成が数日伸びてしまうのは、後の科目修了試験の申込にも影響したりして、何としても避けなくてはならない問題です。
この、もどかしい気持ちになるの伝わりますでしょうか・・・・
大学でたくさんのレポートを書いた経験のある方は、感覚的にわかっていただけるかもしれませんが、文章を書いていると、そのときの「ノリ」って結構大事なんですよね。
ノリノリの時には、文章ってスラスラ出てくるんですよ。
あと少しで仕上がるというときに、ましてや提出期限がせまっているときに、
「明日続きを書こう」
って書くのを止めてしまうと、どうなっちゃうのか?
多くの場合、次の日には、書き出しの速度が遅くなっているのがオチです。
テンションが下がるんですよね。
私は、なんどもこれを経験してきたので、ノリの良いときは、できるだけ書くことを中断しないようにしていました。
もっとも、レポート完成間際になって、こうしてアタフタするのは、
そもそも最初の見通しが間違っていたからではないか?
という指摘はあろうかと思います。
最初の見立てが甘いから、ギリギリになってアタフタするのだよ
っていう意見ですね。
確かにその通りです。
しかし、レポートを書き始める前に、文章量を見立てた結果、逆に文章量が少なくなってしまって、あわてて冗長な表現を追加してみたり、過剰な具体例を挙げたりして、無駄な文字数稼ぎをすることもあり、なかなか最初から適切な文章量の見通しを立てるのは難しい側面があります。
言い訳ッぽく聞こえますね・・・
でも、私は、思ったんです。
内容的に、良質のレポートというのは、最初に多めに文章を構築して、後から不要部分を削っていく方法から生み出させるものだと・・・・
なので、多めに文章を作って、無駄なところを削減し、それでも字数オーバーしそうであれば、漢字表記の変更などの小手先テクで文章量を調整するのも、ありだと思うんですよ。
ちなみに、平仮名書きにするべき、代表的な接続詞などには、次のようなものがあるとされています。
接続詞
所が→ところが
従って→したがって
及び→および
並びに→ならびに助詞
位→くらい(ぐらい)助動詞
様である→ようである形容名詞
事→こと
時→とき川村匡由・川村岳人『改定 福祉系学生のためのレポート&卒論の書き方』中央法規 2005年 19頁参照
ひらがなで書くべきところが、結構多いのが分かるかと思います。
ひらがな表記の正誤を厳密な評価基準として適用する教員がいたとしたら大変です。
あまりいないとは思いますが・・・
少なくとも、私の5年間の大学生活の中では、そのような評価基準の教員はいませんでした。
今回も評価は、めだたくAをいただくことができました。(文字数制限は、守ったほうがいいです)。
なので、あまり神経質になることはありませんが、気になる人は、漢字で書くことよりも、表現自体をかえてみてもいいでしょう。
例を挙げると、
したがって
この表現が長いのであれば、
よって
にしてみてはいかがでしょうか?・・
日本語は、表現が非常に豊かなので、他にもたくさん表現はあると思います。
とまあ、話しがちょっとそれたかもしれませんが、今回の「心理学研究法」という科目は、心理学系の科目の中では、かなり歯ごたえのある科目です。
テキストも専門性が高いです。
人間科学研究法ハンドブック
これが、指定された教科書でした。
心理学研究における倫理的問題、ディセプション、ディブリーフィングといったサイコロジカルな説明が、一部英語で掲載されているページもあります。
ちなみに、ディセプションというのは、簡単にいうと、実験を行う際に避けられない、被験者に対するだまし要素のことです。
事前に実験のネタばらしをしてしまうと、質の高い実験結果が得られないことがあるので、例えば、虚偽の理由が被験者に告げられたうえで実験が行われます。この嘘の部分がディセプションです。
ディブリーフィングというのは、嘘をついて実験をしたことについての、被験者に対する、後からの説明やフォローのことです。
なぜ、実験では嘘をつかなければならなかったのかを丁寧に説明し、被験者の心情をケアするものです。
英語で書いてあっても、実際には分かりにくいばかりですが、心理学の研究は、やはりアメリカが先端をいっているので、そういう意味で、英語の文に触れるだけでも、勉強のテンションが上がります。
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