「社会福祉士の実習は難しい」への考え方
この記事は、社会福祉士の資格をとろうと検討しているが、実習をネックだと感じている社会人に向けて書いています。
職場に内緒で社会福祉士を目指すのは、たとえ通信であっても難しい。
とくにフルタイムで働きながら実習で長期間休暇をとるのは理解が得られにくいでしょう。 pic.twitter.com/ZzMsoAfpTn— SAM (@netdemoukeruSAM) 2019年7月19日
社会福祉士資格の参入障壁の一つといわれているものに実習があります。
該当する実務経験がある人は免除されますが、実務があっても免除に該当しない人は一カ月もの時間を実習に費やす必要があります。
働きながら資格をとろうとする社会人は、多くの場合、ここであきらめてしまいます。
特にフルタイムで会社勤めをしている人には負担が大きい。
福祉の勉強をするという、まっとうな理由があるとしても、同僚への業務負担を無視して平気な顔をして有給を一カ月とらせてくれなんて会社員はなかなかいえないものです。
では、介護など福祉系の仕事をしている人の場合はどうでしょうか?
例えば、介護職員がキャリアアップのために社会福祉士の資格を取りたいというのは、一見すると
向上心があって福祉職場では理解されやすいのでは?
と思いがちです。
ところが現実は違います。
福祉職場は休みにくいという事情があり、休みを言い出しにくいのが現状です。
アルバイトやパートの場合は別ですが、低賃金でも月給制の場合は、休ませない圧力をかけてくる場合が多いです。
ちなみに介護職員としての実務は社会福祉士の実務経験としては認められないことになっています(介護福祉士の実務には当然なります)。
要するに該当する実務経験がない社会人が社会福祉士の資格をとろうするならば、どうしても長期に仕事を休む必要性が出てきます。
もしくは辞めてしまう決断が必要です。
人手不足の職場からしたら、辞められるくらいなら有給をしっかりとらせてあげたほうがいいと思うのですが、組織は従業員の気持ちをわからずに退職届を出させるような対応をしてしまうものです。
今のあなたの職場は長期休暇をとれる組織なのかどうか?
この点をアセスメントして実習の計画を検討してみてください。
ちなみに、働きながら実習を受ける場合でも、2週間×2回にするという手はあります。学校によって実習の形態はさまざまなので事前に調べる必要はあります。
今の実習は、昔と違って結構手間がかかるカリキュラムになっていて、事前準備もそれなりに必要な内容となっています(10年以上前はボランティア実習的な要素の強いカリキュラムだった)。
今後は、養成カリキュラムの変更によって、さらに実習時間を延ばそうという提案もなされているので大変です。
実習にかかる費用もコストアップしています。
多くの学校では実習費用として10万以上は求めています(昔は5万くらいだった)。
だったら、裏技というか、大学や養成施設に入るまでに実務経験を積んで実習を免除してもらうというのは一つの手ではあります。
社会福祉士の業務に該当する業務のアルバイトや非常勤の仕事をして実務経験1年分を満たすということです。
お勧めなのが障害者施設の支援員です。未経験でもバイトであればわりと採用されやすい職種の一つです。
紛らわしいのですが介護系の支援員ではなく、社会福祉士の業務に該当する生活支援員の仕事です。
ただし、生活支援員になるには、ヘルパー資格や介護福祉士、社会福祉主事など一定の資格が求められたり、無資格でも可だったりする場合があるので、そのへんはよく調べる必要があります。
ただし、この裏技は、週2日3日のバイトだとなかなか実務日数要件を満たせないので注意が必要です。1年分の実務といっても要件を満たすには結構期間がかかります。
なので、どうしても確実に早く社会福祉士になりたいというのならば実習を受けるほうがいいかもしれません。
面倒くさいと思うかもしれませんが、一生で一回の社会福祉士実習ですので、ここはひとつ実習を貴重な機会だとポジティブにとらえてはいかがでしょうか?
実習は長くてお金もかかって大変ですが、
「相談援助実習を受けた」
という自負をもつことができる。 pic.twitter.com/yJ6MMBPYvq— SAM (@netdemoukeruSAM) 2019年7月20日
実習は、受けなければならないもの
という発想から、
受けておいたほうがいいスーパービジョンである
という発想に切り替えるのです。
ちなみに私は配属実習で障害者施設と身体障害者福祉センターの2か所で実習を受けました。現在は生活支援員をしています。今考えると、実習を受けた影響でいまの仕事をしているといっても過言ではありません。
そのくらい実習は影響力のあるものだということもあたまの片隅においておくとよいでしょう。
つまり、実習でおとずれた施設に影響を受けて、次の職場が決まることも現実的にあるということです。
実習を参入障壁ととらえて、安易に社会福祉士をあきらめてしまうのは、もったいないことかもしれません。
「社会福祉士の資格はとってからが本当の勉強の始まりです」
という人がいますが、
最近、私はそうとも思えない気がするのです。
もちろん資格を取ってからも勉強はします。
でも、それはかなり福祉からは離れた領域の勉強であることが多いのです。
ご存じの通り、今の社会は急激に変化していますので
福祉とは何か?
とか
自分はなぜ福祉のしごとをしているのか?
といった福祉の王道的な勉強や自己内省的な経験ができるのは学生時代くらいのものだからです。
社会福祉士受験資格を満たす方法として、大学における資格重視の履修登録、編入による単位認定、試験対策的な効率重視の授業内容、実習免除という方法は無駄がなく、効率がいいかもしれませんが、逆に言えば福祉の王道を学ぶ機会を失っているともいえます。
学生の時くらいは回り道をして福祉を幅広く学び、実習では利用者とのコミュニケーションに一喜一憂するくらいのほうが伸びしろが増えるのかもしれないのです。
国家試験対策に準拠した大学の授業は、大原やLECの授業と似てしまう。
資格スクールが悪いわけではないが大学でやる意味あるの?
「重要ポイントだから覚えてくださいね」なんて授業はつまらないですよ。— SAM (@netdemoukeruSAM) 2019年7月20日
社会福祉士になってひとたび仕事につけば、それが何の仕事であれ、日々の仕事に追われるようになり、忙しくなります。
現に今の仕事が忙しくて(休めなくて)社会福祉士の実習をあきらめようか?どうしようか?という状態になっているのですから、このことは容易に想像がつくと思います。
まとめ
- 社会人にとって社会福祉士の実習制度は実質的な参入障壁になっている
- 該当実務が満たせない人は、フルタイムの仕事はやめる覚悟が求められるが、2週間×2の実習もあるので職場と交渉する余地はある
- 社会福祉士の実務に該当する職種に就業して実務要件を満たす選択肢もある
- 社会福祉士の実習は受けたほうがいいという考え方もある
いずれにしても社会福祉士の資格をどう生かすかが、どの選択肢にするかの根幹にあると思いますのでよく検討してみてください。
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