「辞めたい」は、まだ「辞めたくない」
- 人間関係のストレス
- 職場や待遇への不満
- 長時間労働
さまざまな理由から、仕事を「辞めたい」と思っている方は多いです。
今日は、この「辞めたい」という言葉について述べます。
私が長年、ブラック企業での過酷な勤務をした経験から分かったことは
辞めたいといっているだけの人は、まだ辞められない状態だということです。
辞めたい要因は、人それぞれですが、
会社をほんとうに辞めるときというのは、辞めたいという言葉が出るだけではなくて、
身辺整理や片づけ、退職願を書くなどの、辞めるための具体的行動をとるものです。
以前、私は、会社を辞めたいという人にアドバイスをしたことがありました。
いわゆる「名ばかり管理職」をしている人でした。
民間の福祉施設では、管理職といわれていながら、やっていることは現場仕事や、夜勤や、苦情処理といったことがあります。
その人は、毎日くたくたになって、サービス残業をして、暗い顔をして、悲壮感を漂わせていました。
欠勤した職員の穴埋めをするために、10日以上連続勤務をしていて、労働基準法的にもアウトなブラックの福祉施設で働いていたので、
「辞めた方がいいですよ」
とお伝えました。
このままだと、怪我をする可能性が高いし、怪我をしても会社は何もしてくれない、他にもがんばれる職場はある
こういう言い方で、やめることを推奨しましたが、その人は結局辞める行動をとりませんでした。
その人は、相変わらず辞めたいの言葉を連呼しつつ会社に行っています。
このとき思ったんです。
辞めたいという言葉は、結局
「やめたいけどやめられない」
という意味なのだなと、・・・・・
後日、その人が落ち着いた状態のときに、もう少し、この件について話をしてみました。
そしたら、その人いわく会社を辞められないのは、
- 利用者に対する責任がある
- 自分が出勤しないとスタッフが足りないので、現場が回らない
- 月末までに書類を仕上げないとならないから行かざるをえない
こういった理由で、休みもとれず連続勤務をし、サービス残業をしているのだということを語ってくれました。
そして、この状況が落ち着いたら辞めるつもりだとしてこの話は終わりました。
「落ち着いたら」というのは、どういう状態なのか?が正確には不明でしたが、
おそらく介護の職員不足が解消し、利用者が増え、現場が回るようになるということを意味していると思われます。
これって、ブラック介護施設では、難しい課題だと思いますが、この点については私は何も言うことはしませんでした。
辞めろやめろといっても、その人を責めることになってしまうからです。
この人のように、責任感のある人に、おんぶにだっこしてもらっているのが、ブラックな福祉業者です。
でも、こうした責任感というのは、私は推奨できません。
もっと違った場所やポストで責任の果たし方はあります。
今回の相談で感じたことは、
福祉業界には、
「劣悪な労働環境におかれているのに、やめられないと思い込んでいる人が多い」
ということです。
思い込んでいるというところがミソです。
実際には、辞められるのに、やめられないと思い込んでいます。
これは、もう信念といってもいいレベルです。
思い込みというのは、恐ろしい力があり、変化への行動を制限してしまいます。
「ブラックだったら即やめます」
という信念の人は、非常にフットワークがいいので、言葉通りすぐにやめられます。
一方、今回の相談のように
- 辞めたらみんなに迷惑がかかる
- 自分がいないと職場が困るだろう
このような信念は、自らを制限し、かつフットワークが悪いので、なかなかやめられません。
自分で自分に制限をかけている状態の人に、
「辞めた方がいい」といっても、響かない訳です。
これは、私が学んだ点で、もどかしい限りですが、仕方がありません。
あなたが、もし「辞めたい」といいながら、辞める行動をとれないでいるとしたら、それはまだ辞めたくないと思っている可能性が高いです。
幸い、いまの福祉職場は、慢性的な人手不足です。
アルバイト・パート・契約社員の仕事であれば、転職はかなり容易です。
ですので、ブラック施設で疲弊している人は、まずは、緊急避難的にでも、居場所を変えてみることをお勧めします。
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