採用担当者に人手不足の危機感は無い
46~50歳を過ぎてハローワークにいって、介護や看護の仕事を探そうとすると「年齢の壁」という困難にぶつかることがあります。
仕事を探している人に経験と資格があっても年齢で不採用になることが目立ちます。
今の世の中、人手不足といいながらも、企業側には採用意欲がないんじゃないかと思うくらい中高年の応募者を断ってきます。
中には、職場の上司より年上という理由でダメ出しをしてくる法人もあります。
特にハローワークのみで募集している企業は、人材募集広告にお金がかからないこともあって、本気で人を採ろうという意欲が感じられないのです。
正直、今の福祉・看護業界は、せっかくいい人材が来ているのに、採用担当者には人を見る目がないので、結果として人手不足を招き、自分で自分の首を絞めるようなことをしています。
こんなことでは今後も人手不足が解消することは難しいです。
一方、転職エージェントなどの有料サービスをつかって人材を募集している企業の場合は、採用した場合に高い手数料を払うことになっていますので、厳選過ぎる選考をしてしまう傾向があります。
転職サイトを利用している企業の中には、2次・3次面接までしたり、実習と称して何日か応募者の適正を確認するようなことを求めてきたりします。
一体どれだけ慎重なんだという話ですし、高飛車だといわれるかもしれません。
これが公務員などの恵まれた待遇の募集ならばまだわかります。
でも、昇給もボーナスもない契約社員なのに、こうした過剰厳選選考があるのです。
ちなみにこの、採用前の実習についてですが、意味はありません。
そんな実習までして、採用しないとなったらどうするんでしょうか?
交通費や日当を出したからといって、人を試すような実習までさせられた挙句に不採用になった方は、たまったものではありません。
第一、たった半日から一日、ある人の挙動を見たからといって、その人の適正が分かる訳がありません。分かったとしても、それは主観であり、単なる好き嫌いの判断でしかないのです。
逆に、応募者からしたら、そんな品定めされるような実習をする職場は、感じの悪い会社に感じてしまうことでしょう。
厳正な選考の上、採用通知を出したとしても、不安がられて辞退されるというのがオチです。
人間は、失敗をしながら成長するものですし、優秀な人材であってもメンタルが弱って優秀じゃなくなる時期もあるんです。
企業側にとって100%都合のよい、スーパーマンのような人材を取ろうとしても無理です。
ハローワークで募集している企業にしても、有料の転職サイトで募集してる企業にしても採用担当者に人手不足の危機感が足りないのが問題です。
年齢が高いとダメ、転職回数が多いからダメ、夜勤ができないとダメ、
〇〇だとダメが多すぎるのです。
上記のように、採用側が雇用に対してこだわりが強くなってしまう原因は、人件費という固定費を払い続けるのがきついからだと考えています。
一例ですが、雇用にともなう社会保険料の負担があります。年々負担が増えている社会保険料は、労働者にとっても雇用側にとっても大きな負担となっています。
しかし、これは採用側の論理であって、社会保険は労働者からしたら安心して働くための要素ですので、最低限の投資だと思ってもらいたいものです。
労働者の福利厚生である社会保険の負担を回避する行為は、結局は労働者を排除しようとする行為です。
労働者を募集しながら、やっていることは労働者の排除という矛盾した行為は意味がありません。
このままでは業界に愛想を尽かして、ますます労働者が去ってしまうことが予想されます。
悪い例として出すのは申し訳ないのですが、実は今、建築業界では劣悪な労働環境のイメージがあり、実際にブラックな企業が多いことから人材が流出してる状態になっています。
福利厚生にしても職員の厚生年金の加入率も極めて低いとされています。社会保険にすら入れてくれない下請け孫請けの会社が多く、労災隠しも多い業界です。
看護・福祉業界は、建築業界のようになってほしくないというのが正直な思いです。
採用担当者には、ぜひ人材不足の危機感を感じてほしいものです。