大戸屋はブラックか?
大戸屋の長時間労働の実態を取材した「ガイアの夜明け」という番組をみました。
番組の内容としては、常態化している大戸屋の長時間労働を削減するための取り組みを取材したものですが、逆にブラック企業としてのイメージを確定されてしまったかのような状態になってしまいました。
店主の安藤さんの残業時間は、月70時間ほどですが、月20日労働として、一日にすると3時間ちょっと残業している計算になります。一日8時間労働だとしてプラス3時間ですから11時間、おそらく休憩時間は実質とれていないとして結局12時間くらいは働いていることが想像できます。
別店舗の店主、上原さんが「残業代がないと住宅ローンと教育費が苦しい」という発言から残業代は支払われているのがわかります。
しかし、残業代を払えばいくら残業をしていてもいいわけではない。
働き方改革によって、今後は企業にとって残業時間を減らすことは喫緊の課題です。
一日、12時間働くというのは過労死ラインに達してしまうので、この状況を放置している限り、ブラックだといわれても仕方がないです。
ちなみに安藤さんは、残業規制には反対していました。
「もっと働きたい」というのだから驚きです。
番組の中で、安藤さんの仕事中の所作を見ましたが、無駄のない動き、テキパキとした身のこなしから、仕事に誇りを持っているのが伝わりました。
働くことが生きがいになっているのでしょう。
しかし、それは自分が会社の中で役立っているという感覚に陶酔してしまっている状態に過ぎません。
七つの習慣の時間管理のマトリックスでいうところの第一領域の時間帯でエネルギーを消耗しているだけです。
度が過ぎれば、いつか健康を損なうことになります。
第1領域に時間を使い続けているだけでは、やがて行き詰まる。
『七つの習慣』より pic.twitter.com/k17XJBfHQl— SAM (@netdemoukeruSAM) December 14, 2019
番組の中では、無駄な残業を減らすために、作業効率の見直しを検討する大戸屋の姿が取材されていました。
調理の工程を同時並行でいくつもこなすことで時間短縮をはかったり、タイミーという単発的な人材派遣システムを使ったりしていましたが、これらは対症療法です。
根本的に人手不足・余裕不足なのを無視して、無理して効率を上げようとしても、ミスが増えたり、余計な業務を生み出すことになります。
- 料理をこがしてしまってクレームに処理にあたる
- はじめてきたタイミーのバイトさんに指導するのに時間がとられる
といったことがおきるわけです。
ちゃんと休みをとり、余裕のある時間の枠のなかで集中することで効率があがるのであって、根性や精神力、短時間に作業を詰め込むことで業務が効率化されるわけではありません。
今回の番組は、大戸屋がブラック企業だということを述べたかったのではなく、むしろどうすれば、残業体質の飲食業界を変えられるか?について提起した番組でしたね。
番組の放送後、大戸屋の株価が下がったと報道がありましたが、このようなことにめげずに企業努力を続けていただきたいと思います。