福祉職場のパターンを知れば問題を超えることができる
パターンを知れば、パターンを超えることができる
神田昌典「仕事のヒント」フォレスト出版,2005年,161ページより
福祉職場では、
「何を言ったか?」よりも、「誰が言ったか?」が重視されます。
こんな経験はありませんか?
「上司の決めた方針を実行すると、ある問題が生じるが、上役が決めたことは絶対の決定事項なので、何も改善提案せずに、考えずに言われた通りに実行した」
これは、上下関係の厳しい職場では毎日のように起きているパターンです。
福祉職場では珍しいことではありません。
上下関係は、単に役職の上下だけとは限らず、平社員だが古株の職員と、経験はあるが転職してきたばかりの職員ということもあります。
大規模な老人施設では、看護職員と介護職員で対立関係がおきているところもあります。
福祉職場では、こういう問題パターンがある現実を受け止めたうえで、じゃあどうすればいいのか?というと、
- 問題のパターンを知る
- 対応策を考える
- 実行する
ということになります。
昔、私がヘルパー資格をとるために通っていたスクールで、ある生徒がこんなことを言っていました。発言場所は実習先の特養でのことです。
「これだけ優しい人が働いている老人施設のような職場は人間関係の悩みはないのでしょうね」
です。
断言しますが、この発言内容は完全に勘違いです。
福祉職場であっても、いや、むしろ福祉職場だからこそ人間関係の悩みは複雑で陰湿である。というのが正しい認識です。
福祉職場を渡り歩いていくためには、福祉職場のパターンを正確に客観的にとらえることが必要です。
福祉職場では、何を言ったか?よりも誰が言ったか?が重視される
というのも問題パターンの一つですし、
利用者の人権を盾にして、福祉職の個人的見解を通させる言動も発覚している問題パターンです。
長年福祉職場にいると、こういう理不尽な場面に遭遇する機会は相当にあるので、気づいたことがあったらメモしておき、対応策の分析に活用しましょう。
後で時間のある時に振り返って、次はどう対応するかをちょっと考えてみるだけでも大分違います。PDCAサイクルです。
問題パターンを認識するためには、言動に目を向けることが重要です。人は、短期に言葉で嘘つけても、長期に行動で嘘つくのは難しい。
特に長期的に本心に反する言動をとることは不可能なわけです。
言動を観察すればパターンを発見できます。職場にいる人をアセスメントすることもできます。
パターンは、繰り返されている事象なので、事象をカウントして傾向と対策を検討します。
数値によって社会現象を客観視するには、社会福祉士の試験科目でもある「社会調査の基礎」の知識が参考になります。
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社会調査の基礎を福祉職場の問題に応用するのって、家計簿をつけることに似ています。
家庭の無駄な支出を知るために家計簿をつける。そして無駄の正体をみつけて改善する。
福祉職場の問題パターンを発見して対応策を考えることは、まさにこの家計簿の考え方と同じことです。
「社会調査の基礎」のような科目が社会福祉士の養成課程に存在することからわかるように、考えてみたら社会福祉士は社会的に問題を抱えた人に対する支援をする専門職なわけです。
その専門職が、自らの職場での問題を分析できないというのはおかしな話です。
パターンを知れば、パターンを超えることができる
これは、福祉職場で使える社会福祉援助技術です。