福祉系の大学生は一般企業に就職できますか?
福祉系学部が一般企業への就職に不利ということはない
- 福祉系学部は一般企業の就活に不利なのか?
- 福祉系学部を選択したのは間違っていたのではないか?
このように思っている人は、結構多いです。
あなたかもしれないですよね。
激務薄給であることなどを主な理由として、就活の段になって一般企業を目指す学生がいるのは、無理のないことです。
介護をするために、大学まで出た(社会福祉士になった)わけではない、という気持ちもわかります。
これは、引けめを感じることではありません。
むしろ、普通の反応だとさえいえます。
新卒のカードは一回しか切れないですからね。
福祉系学部だから、福祉の仕事をしなくちゃダメという方が不自然です。
そんなことをいったら、文学部の学生が一般企業に応募するのもおかしいという話なってしまいます。
教員養成系の学部でありながら、教員免許をとらない
「ゼロ免課程」
の人だっているわけです。
なので、学部の選択が間違っているということはないと思うようにしてください。
企業の福祉系大学に対する偏った捉え方が問題
人事担当者は、素朴に、
「福祉系大学なのに、どうして一般企業に入りたいの?」
と思ってしまう存在です。
就活の面接で、そのようにきかれるかもしれませんよね。
学生の方も、それを承知しているので、この質問に対する答えを考えて、身構えてしまいます。
でも、考えてみたら、ある学部を卒業した学生を、企業の採用担当が、
「その筋の専門家だ」
と思うことはないですよね。
個別・具体的・専門的なことは、会社に入って、一から身に付けるものというのが企業の考え方です。
なので、学部が福祉だからといって、不利になる理由はありません。
むしろ大学名で不利にさせられているといった方が正確でしょう。
有名大学であったり、就業実績のある大学の場合は有利です。
逆に、無名・新設大学であったり、実績のない大学の場合は、不利となりやすいです。
理不尽ですよね。
ちなみに、通信や夜学の課程については無名大学の部類に入ると考えてよいでしょう。
優秀の定義
福祉系大学の学生でなくても、名だたる大企業に就職しようという場合の就活は、厳選採用の狭き門です。
就活の段階で、「優秀な人材」と評価された人だけが就職できることにかわりはありません。
ただし、この「優秀」ってのがくせものです。
その意味するところは、採用担当者がイメージする採用者像に近い人物ということです。
はっきりいって、主観と偏見が、かなり入っています。
人を客観的にみることほど難しいものはないですからね。
生涯、福祉の仕事をしないと宣言したわけではない
一度就職した一般企業に定年まで勤めることが絶対に決まっているのだとしたら、福祉系学部で学んだことは、無駄になるかも知れません。
ですが、長い人生、何がどうなるかなんてわからないです。
大学で何を学んだかが、結果的には関係ないことだってあるし、
逆に、福祉を学んだことが縁となるめぐり合わせだってあります。
- 何年か、一般の企業に勤めて、その後福祉関係の会社に転職するかもしれない
- 福祉用具の営業だったり、シルバー産業の仕事をするかもしれない
- あるいは、ボランティアで民生委員をすることになるかもしれない
- 社会活動をしようと思い立って、NPOを立ち上げるかもしれない
- 格差がおかしいと思って政治家を目指そうとするかもしれない
仮定の話だといわれるかもしれませんが、福祉系学部卒であることが、役に立つことはあり得るのです。
生涯、一般企業で仕事をすると宣言したわけでもない
「福祉の仕事は大変で、一般企業の仕事は楽である」
そのように考えてしまうのは、経験不足からくる思い込みです。
一般企業の仕事も福祉と同様に、あるいは福祉以上に大変な側面があります。
ただ、その大変さに対する対価が、福祉業界に比べて恵まれているということはいえます。
もちろん、企業にもいろいろありますから、ブラック企業のようなところには、当てはまらない訳です。
なので、何としてもブラック企業は避けなくてはいけませんね。
ブラックとまでは、いかないまでも、グレーな企業もありますので注意が必要です。
新卒社員の3人に1人以上の人が、3年以内には離職するというデータを、頭の片隅においておくことで、転職の可能性があることを想定しておくことができます。
解決策はあるのか?
「一般企業に就職するには、福祉系学部・学科では不可能」
このような思考から離れらなない人にとっては、臨機応変という言葉がありません。
一貫した人間にみられたいという欲求が強いので、速やかに考え方を変えることをお勧めします。
福祉系学部なのに、一般企業への就職を希望する学生がすべきことは、就職したい業界の研究です。
でも、逆に本当に興味のあることならば、忙しい勉強の合間にも、企業研究はできるはずです。
好きな業界、働いてみたい業界があれば、その研究は楽しいですよね。
福祉がいやだから、何となく一般企業にという動機では、好きな業界の研究はできません。
就職の面接で、
なぜ、福祉学部なのに当社を志望したのか?
という質問に答えるためにも、自分が好きな業界の研究を学生のうちにしておくことが望ましいわけです。
そうした研究がしたくない、できないというのであれば、必然的に一般企業へのエントリーは徒労に終わることでしょう。
でも、
- 好きではあるけれど、研究の仕方がわからない
- 好きな業界が絞り切れていない
という場合はあると思います。
その場合に、私がおすすめする企業研究の方法は、
決算書の読み方を勉強することです。
これにより、
「株式会社とは何か?」
ということが学べます。
勉強の仕方は、本屋さんで売っている
「決算書の読み方入門」
のような本で、分かりやすいと思うものを数冊買って読むというシンプルな方法です。
損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書
これらが読めるようになることが勉強の目的です。
また、決算短信や有価証券報告書も読み慣れておくと、企業分析ができるようになります。
上場企業への就職をしない場合は関係ないと思うかもしれませんが、企業の決算や経営、ビジネスニュースが理解できるようになり、就活へのプラス効果は計り知れません。
どういう会社が伸びるのか?
なんてことも感覚的に研ぎ澄まされるようになります。
この時、
「福祉ばかりを勉強してきたので、決算書なんてわからない」
という決めつけはしないで、興味の幅を広げる意味でも、株式投資を含めた決算書の読み方を学ぶことをお勧めします。
株式会社の世界は、ビジネスの世界です。
言い換えると、経済です。
福祉の問題って、突き詰めれば、全てにお金が関わってきますから、経済と福祉は、切っても切れない関係なんですよ。
社会福祉系の学生が経済を学習することは、理にかなった行動です。
まとめ
就活というものを、あまりに大袈裟に考え過ぎてしまうと、何も行動できなくなります。
一般企業に就職できなかったら、
「福祉業界があるさ」
と頭を切り替えればいいことです。
ここで、まちがっても、
「就活に失敗したら人生終わりだ」
なんて、あなたという宝物を、ドブに捨ててしまうような、もったいない思考は持たないことをおすすめします。
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