社会福祉士のキャリアに介護経験は必要か?
社会福祉士の資格を活かしたキャリア相談のよくある質問に、
「介護を経験したほうがいいですか?」
というものがあります。
現場の相談員になるためには、まず現場に入って介護職として経験を積んで、それから相談員としての仕事を覚えていくみたいな言われ方がされます。現場のことを知らないのに相談員ができるはずがないという理由からくる仕事観です。
介護現場からステップアップするルートは確かに現場によってはありますが、あくまで現場によりけりです。
例えば、地域包括支援センターの相談員の中には、介護職をしたことのない人も存在します。介護経験がない人はアセスメントの部分で苦労することはありますが相談員が務まらない理由にはなりません。相談業務の中で慣れていくことでカバーできるものです。言い換えると介護現場で長い経験があっても相談員が務まる理由にならないのと同じということです。
結論
相談員だから介護現場を経験しなければならないということはありません。
しかし、機会があれば経験しておいて損はないでしょう。
重要なことは、福祉サービスや制度のことを広く把握していることです。資格を取っただけの未経験者は、まずは現場福祉サービスの把握に力を注ぎましょう。
どうすれば福祉サービスを把握できるかについてわからない場合は、パートタイムやアルバイトなどで老人のデイサービスの職員としていくつかの施設に働いてみるというのがお勧めです。学生のうち経験しておいてもいいでしょう。
小さな規模のデイサービスでは特に、利用者に対するやりとりや相談員の動きまで身近に見られるので効率的に勉強ができます。
いろいろな施設を経験することで現場レベルの福祉サービスを学ぶことができます。自分が利用者だったら利用したい施設か?という視点で働いてみると福祉を見る目が養われます。
介護福祉系の領域しか知らない社会福祉士は、それはそれで現場に必要な人材なのですが、将来的に広い領域で活動したいならば、いずれは介護現場を離れる必要があるでしょう。特に年齢を重ねてなお介護現場の第一線で肉体労働をすることは難しくなるので、そのことを視野に入れた仕事をすることがキャリアとしては現実的です。