福祉系大学レポートにおけるネットからの引用法則
今の学生は情報収集の面では非常に有利です。
必要な情報が、ネットで簡単に検索できてしまうからです。
インターネットの存在により、レポート作成は、昔よりも多くの手間を省けるようになりました。
かつて、ワープロが普及したとき、革命的にレポートの編集作業がやりやすくなったといわれた時代がありました。
それまでの手書きだった時と違って編集作業が格段に容易になったのを思い出します。
思いつくままに、文章を書き進め、後から文章の一部を移動したり、削除したりできる。
清書する手間もなく、プリンターで印刷すれば、あっという間にきれいな楷書体でレポートが仕上がります。
それが現在では、情報収集までもが、家に居ながらにしてできようになっています。
インターネットはワープロ以来の革命です
この文明の利器を使わない手はありません。
社会福祉士のレポートにネットからの引用はしてもいいんです!
ネットからの情報は、情報の鮮度が高いところがメリットです。
専門書や参考文献に書いてあることは、どうしても情報の鮮度が落ちます。特に統計情報などはその傾向が強い。
なので、レポートに説得力を出す意味でも、ネットからの引用は有効な方法です。
もちろん、週刊誌・月刊誌など雑誌の場合は、その情報鮮度は高いので、一概に書籍が古いという訳ではありません。
例えば、「月刊福祉」という月刊誌の情報は新しいし、書籍としての信頼度は高いです。
ただし有料購読なのが難点。
また、専門書であっても、発売されたばかりであれば、最新の情報が掲載されているということはあります。
それぞれのメディアごとに得意不得意があるので、それらを見極め、ベストな参考・引用元を探してみてください。
それにしても、インターネットの利便性は際立っています
何かデメリットはあるのでしょうか?
もちろんあります。
デメリットというよりも、注意すべき点ですね。
それは、
ネットからの引用のみで済ませてはいけない
ということです。
本来、情報の出どころがしっかりしていれば、ネットでもテレビでもいいと思うのですが、ことはそう単純にはいきません。
学生の側から合理的に考えて、いいと思ったとしても、そのレポートを添削する教員が認めなければ意味がないのです。
レポートは学生から教員に学習成果を報告することが前提になっているからです。
では、ネット情報の何がいけないのか、具体例を出しましょう。
例えば
ウィキペディアから引用をしてはいけない
このように考える大学教員は多いです。
これは、ウィキペディアの情報が
- 間違っていることが多い
- 誰が書いたかわからない
- 記述が頻繁に改定・削除される
という理由によります。
インターネットの負の側面である、情報の玉石混合さを指摘している訳です。
それでは
誰が書いたのかが明確で、出所がはっきりしていて、簡単には削除されないネットからの引用はよいのか?
という疑問をもったあなた。
その通り。正解です。
例えば、厚生労働省とか、法務省など官公庁の統計、NHK・毎日新聞(ウェブ版)などの有名メディアの出している情報は、堂々とレポートに引用しても大丈夫です。
それから、ネットで閲覧できる学術雑誌や論文の類も、引用することに、何ら問題はありません。
最近はネットで論文を検索・閲覧できるサイトも増えてきました
例えば、
CiNii(http://ci.nii.ac.jp/)というサイトでは、日本の論文をウェブで探すことができます。
レポート添削者が後から確認ができるかどうかを確認して引用・参照しましょう。
ただし、特定の人しか閲覧できないような論文を参考文献としても、添削者からしたら確認する手段が制限されるので注意します。
CiNiiというサイトは、便利ですが、有料のコンテンツもあります。すべてが無料ではありません。
閲覧が有料の論文から引用するのは、特別に理由がない限りは止めておいた方がいいでしょう。
担当教員が、たまたま有料の論文検索サイトを利用しているならよいのですが、そうでない場合は確認されずじまいで添削されることがあります。
ここだけの話ですが、通信制大学のように生徒数が非常に多い大学の場合、教員が、そのレポート添削において、すべての参考文献を適正に引用しているか否かを確認している確率は50パーセントです。
つまり、五分五分です。
要は、ブラックボックスになっていると考えてください。
考えてみれば、1本のレポート添削にかけられる時間と人員は限られています。
手分けして添削をしていることもあります。
そんな中、有料の論文検索サイトをわざわざ確認してくれるかというと疑問です。
ここで、
ろくに引用元を確認していない教員がいるのならば、テキトーな引用やコピペに近いことをしてもバレないから良いことだ
と考える人がいるかもしれません。
でも、その考えは推奨できません。
なぜならば、あなたの意見や考えに説得力を持たせるための引用なのに、それを確認されない状態はただ、レポート用紙の字数を埋めているだけとなるからです。
要は、せっかくの引用部分が無駄になってしまうんです。
そうすると教員は、引用部分以外のところに注意力をフォーカスして、そのレポートを評価しようとします。
ところが、コピペに近い引用をすると全体の文章にアンバランスな部分が出てくるのが常です。
なぜ、このようなことが言えるのかというと、実はレポートというのは、実務的には完全オリジナルというのはまれだからです。
自らの体験談を具体的に記入すること以外は、ほとんどが誰かの情報の組み合わせといってもいいくらいです。
コピペではないにしても、参考文献に書いてあった情報に近いグレーな文章を書くことがあるのです。
実務的には、それをリライトといいます。
そのリライトの度合いによってはコピペに近いグレーな文章といわれてしまうことがあります。
十分に情報が租借されないまま書いているために起こる現象です。
当然ですが、字数制限などの都合で、参考にしたすべての情報元を記載することはありません。
それは不可能です。
なので租借されていない文章は、アンバランスになる
そこに教員の視点が向いてしまって減点される
そんなことが起こりかねないのです。
ちょっと話がそれましたので、話をネット上の論文に戻しますが、私は使っていませんでした
まず、長い論文を読むこと自体が非常に時間がかかりますし、読みやすさという点でも難易度が高いのが普通です。
書いてあることが難しいというのもありますが、通しで読まないと結局何をいおうとしているのかが分かりにくいということが多いです。
学術論文は、誰が誰に対して書いている論文かによって専門用語の使い方や、文章表現がガラリと変わります。
例えば、医科大学の内科学を専門にしている先生が、学会向けに書いた論文は、医学の基礎を知っていることを前提に書かれています。
これは、獨協医科大学 内科学(循環器)の石光俊彦さんが書いた学術論文の一部です。
従 っ て , 最新 の 診療 ガ イ ドラ イ ン に 示 され て い る よ う
に ,.lrl[圧 130 − 139/80 − 89 mmHg ,血 清総 コ レ ス テ ロ
ール 200 − 219mg /dL の い わ ゆ る正 常高 値 群 に 対 して
も,何 万 人 規 模 で 積 極 的 な薬 物 治 療 の 効 果 を 調 べ れ ば ,
お そ ら くは心 血 管疾患 の 発 症 を抑 制 させ る こ とが 推 測 さ
れ る が ,こ れ に は 千例 以 上 の NNT と億 単 位 の 医療 費が
必 要 と さ れ る .
これは福祉を学ぶ学生が読むには難しすぎます。
例えば、これを「医学一般」という社会福祉士の科目のレポートに引用しようとしても扱いにくいでしょう。
部分的に読んでも分かりにくいですし、専門用語が難しすぎまる。
レポート作成では、多くの情報を拾い読みすることがあるのですが、僅か一文を引用すために、上記のような論文を読むのは消化効率が悪いし、大学レベルのレポートであれば、論文から引用する必要性はあまりないといえます。
もちろん普段から様々な論文を読んでいて、レポートを書く際に「あの論文にこんなことがかいてあったな」って感じですぐに引用できる人の場合は別です。
私の場合は、論文を読む習慣はなかったので、ウェブ上の論文を引用元として使用することはありませんでした。
その代わり使いやすいなと思ったのは、官公庁のサイトに掲載されている統計情報です
ウェブならではの最新情報が引用できますし、官公庁のサイトであれば信用度が高いと思われているから安心して引用できます。
ただし、例え信用できる出所であったとしても、レポート内の引用元が全てウェブからの情報だと、添削者である教員から反発を受ける可能性はあることは忘れないでください。
何故かというと、教員の考えの根底には、ネットから情報をコピーして貼り付けているだけというイメージがあるからです
コピーした情報をリライトして貼り付けても、やはり「楽をしている」と思われてしまいます。
学問はもっとアカデミックなものであり、専門書をもっと読むべきだ
という固定感間を持っている教員がいるからです。
要は「ネットでお手軽に引用した」と思われてしまうのです。
これって、すごく損なことですよね。
大学によっては、教員の固定観念にとどまらず、学習ガイドの中で、ネットからの引用だけでは減点すると明示しているところもありますので、その場合は当然に従わねばならないルールとなりますのて注意してください。
大学側が、書籍の読了を暗に推奨するのは、評価しようとする学生の知識度を高めるとか、当該科目を理解しているかという知識度を図る意味があることは、もちろん承知しています。
でも、ネットが普及する以前のころの大学生は、参考書を手書きで写してリライトすることをしていましたが、こうした行為がネット上の情報をコピペ&リライトするのと本質的にどう違うのか、今一つ曖昧です。
おそらく、書籍から手書きで写す場合は、知識が頭に入る、つまり理解度が上がるという考えがあったのではないか?
と推測します。
ネットが駄目で、書籍が優れているという根拠には、全くならないんですけどね。
レポートは、あくまで書いた内容で評価されるべきですし、引用元がネットだから信用できないというのはどうかと思います。
ですが、教員が嫌だということを、あえてするのは得策ではありません。
教員に向けて書くのがレポートですからね。
考えてみれば、教員はたくさん書籍を読んで専門知識を得てきた訳ですから、ネットの情報よりも、書籍からの引用の方が格上という意識があるのは当然です。
ウェブサイトからの情報検索だけで書いたレポートと、その筋の専門書を消化したうえで引用しているレポートでは、必然的に後者に高評価がつきやすいです。
これは、私が実際に経験してきた中で確認した事象です。
ここで福祉系大学レポートにおけるネットからの引用法則の結論
- レポート作成においては、全てをネットからの情報で書いてはいけない
- でも、部分的にはオッケー
- 引用は自らの意見や考えに説得力をつけるためのもの
- 引用する情報は常に吟味せよ
この法則を覚えておいてください。
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