ホームレスが災害時に避難所利用を断られた件
全国各地に甚大な被害をもたらした台風第19号ですが、自治体の新たな課題を露呈した一件がありました。
それは、
「ホームレス避難者の避難所への利用拒否です」
理由は住民票がないからという不可解なものです。
この自治体は。路上生活者が多くいる地区として知られている場所もあり、こういうことが起きることは想定できるはずですが、今回の自治体の対応は非常に冷たいものでした。
警戒レベルが「避難準備・高齢者等避難開始」に引き上げられている中、ホームレスの避難所利用を拒否するというのは矛盾しています。
これは、
避難してくださいねといっておきながら、避難する先がない人に対して、
あなたのことは知りません
といっているようなものです。
今回の台風のような災害において、携帯電話を持てないホームレスの人は、こうしたメッセージすら受け取れない。ホームレス支援をする有志団体の声掛けが唯一の情報源。 pic.twitter.com/wgeANGVwvc
— SAM (@netdemoukeruSAM) October 13, 2019
ちなみに、今回、ホームレスの人に対して、旅行者向けの緊急滞在施設を案内することもなかったとのことです。
当然ですが旅行者は住民票を持っていませんから、ホームレスの人が利用してもよさそうなものですが、それもダメということです。
要はホームレスは旅行者ではないという冷たい認識なのでしょう。
今回の一件が、単に現場職員の判断でしたというのならともかく、災害対策本部の事務局として、区民が対象ということで断ることを決めたとのことです。自治体として、差別ではないという認識を示しているのがとても残念に思いました。
ホームレスの人を一般避難所に受け入れるとなると、運用上問題が生じるのであれば、そこを対応するのが自治体の本来の役割です。
住民票がないから拒否というのは、言い換えれば
「税金を払っていない者に自治体サービスを提供する義務はない」
と言っているようなものです。
なんと冷たいのでしょう。
自分も、もしホームレスになったら、こうした非人道的な対応をされるのかと思うとゾっとしました。
今一度、そもそも何のための避難所なのかを検討してもらいたいものですが、当の自治体は対応を変えるつもりはない様子です。
台風第19号は、甚大な被害をもたらしましたが、自治体の危機管理体制に対する姿勢についても課題を露呈したといえるでしょう。