児童福祉司の国家資格化に疑問
厚生労働省は、児童福祉司を認定するための国家資格の創設を検討し始めています。有識者らによる委員会を1月以降に設け、具体的に議論するということですが、これって社会福祉士ではだめなんでょうかねえ?
すでに任用資格は存在しているのに、わざわざ国家資格化すると、受験資格によっては大学に資格取得コースが設けられ、実際に児童相談所に配属されるかどうかもわからない児童福祉司の国家資格取得者が量産されることになりかねない。
かつて、医療ソーシャルワーカーの国家資格化を創設しようという議論がおきたとき、最終的には社会福祉士がその資格に該当するという認識になった経緯と似た構造の話になっています。
ちなみに精神科ソーシャルワーカーについては、90年代以前は社会福祉士が唯一の該当する国家資格でしたが、今は精神保健福祉士があるので、精神科領域については国家資格が分岐している状態になっています。(精神保健福祉士法が法案を通らなかったらこの資格はなかった)
ということは、今回の児童福祉司の国家資格化が現実になったとき、もしかしたら社会福祉士・精神保健福祉士と基礎科目を共有し、専門科目という形で児童福祉領域を履修させることで、児童福祉司(児童福祉士?)なる資格を創設する構想なのかもしれません。
こうなると医療ソーシャルワーカーのための専門資格も作らないと、という議論も再発してきそうな気もするが、ソーシャルワーカーの領域にこんなにもたくさん資格を分岐させて一体どうするのか? といいたくなります。
そもそも論として、ソーシャルワーカー(SW)はSWでしょ。それに、それぞれの領域に専門性があるというのは認めるとしても、では、そうなると社会福祉士は一体何を専門とする資格なのかがぼやけてしまうのではないでしょうか?
「社福はSWの基礎的な資格だ」
という意見はあるのですが、まがりなりにも社会福祉士にだって専門科目があります。社会福祉士の専門科目である高齢や児童・更生保護に関する専門的知識はどう評価すべきなのか?ということです。
誤解のないように言っておくと、今回の児童福祉司の国家資格化は、まだ構想段階なので、もしかしたら社会福祉士・精神保健福祉士とはまったく別建てで作られるのかもしれませんし、企画倒れになるかもしれません。
しかしながら時の政権によっては何が起こるかはわかりません。
最近の例では、法案が国会を通ったことで心理学分野の国家資格である医療心理師が実現しました。これにより臨床心理士資格とのダブりが生じてしまいましたが、児童福祉司の国家資格化がこのような珍事の二の舞にならないことを望みますね。
まとめ
SW系資格の消費者としては、要は、各々が進みたい分野の資格を選択すればいいという話なるでしょう。しかし途中で進路変更しようとしたときに国家資格がないとダメということになると、わざわざ専門学校での履修やら国家試験をパスすることが求められるので、実に無駄が多いことになります。こうしたことを自覚したうえで自らの進路を検討すべきですね。
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