北海道苫小牧市の障害者施設で虐待
北海道苫小牧市の障害者施設で虐待が起きました。
虐待の内容は、
- 大声で怒鳴り、腕をたたく
- 首をつかみ部屋に引っ張る
というものです。
このニュースを見て思ったことは、
一般の人は障害者支援の仕事がほとんど分かっていない
ということです。
怒鳴ったり、叩いたり、首をつかむ
この職員は、なんて恐ろしい人たちなのだろう
そんな疑問さえ沸くかもしれません。
無理はありません。
人は、自身の経験をもとに物事を判断せざるを得ない生き物です。
一方、業界の内部を知る人からすると、一味違った反応があります。
それは、
「また、起きた」
という反応です。
もちろん、虐待を容認している訳ではありません。
それはあってはならないことです。
でも、特別な配慮を必要とする人を支援する仕事は、非常にストレスがかかります。
これは、感情労働といって、高度に自身の感情をコントロールすることを求められる仕事です。
優しいだけで、勤まるほどぬるくない仕事です。
職員の側は、否定され、つねられ、なぐられ、蹴られても何ひとつ怒ってはなりません。
怒りを言動に表したら、それは虐待になります。
一方、利用者の側も、日常的にフラストレーションに耐えて過ごしています。
思い通りにならない怒りや不満は、障害を持っていない者には理解できない苦しみがあるものです。
このように、
誰が悪い訳でもありませんが、お互いがストレスに満ちた空間で過ごしている
それが障害者施設であり、介護施設なのかもしれません。
今回の苫小牧の施設の理事さんは、職員に対して、
減給などの懲戒処分という対応をとりました。
これに対して、当の職員は依願退職をしています。
ただでさえ、薄給なのに減給というのは、どうかと思いますが、
「それならば辞めます」
というのもわかる気がします。
理事さんは、職員に対して
「対応について、教育をしてきたつもりだが、結果としてゆきとどいていなかった」
と話しているが、いったいどんな教育をしたというのか?
おそらく、アンガーマネジメントや、対応方法の工夫を中心とした研修などをしたのだと思います。
それらは、もちろん大切ですが、
まず、絶対的な決まりについて抑えておく必要があるでしょう。
それは、
虐待は、いかなる理由があってもNG
ということです。
極端に思うかもしれませんが、職員の側がどんなに危険にさらされていても、
また、危害を加えられたとしても、この掟は絶対です。
利用者の立場は、職員よりも絶対的に不利であるというのがその理由です。
職員は、仕事を自由意志で辞めることができますが、利用者はそうはいきません。
好き好んで、その施設を利用している人は少ないからです。
ある施設がいやだからといって、他の施設に移れる人は、実際には少ないのです。
なので、職員側が、どんなことにも耐えるということによって、立場的に不利な利用者と対等に近い関係を得られるのです。
職員と利用者のパワーバランス
これに納得がいかないのであれば、それは福祉業界を辞める時かもしれません。
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