社会福祉士レポートアーカイブ(精神保健学-設題2)

過去レポート保存庫

当科目は、精神保健福祉士の指定科目であったものです。


社会福祉士の指定科目ではありませんが、心理学を専攻していた関係で履修した科目です。


内容としては、精神的な健康という視点から捉えた学習内容となっています。


心理学の理論というよりも、社会学的な考察や社会資源の連携といったことを学習することになります。

学習のポイント(学習ガイドより)

 精神保健活動の実際を生活の場(家庭、学校、職場、地域などのいずれか)からみてまとめ、今後の課題について考察すること。

科目概要(学習ガイドより)

 精神保健とは、精神的健康に関する公衆衛生であり、精神障害の予防・治療・リハビリテーションから、精神的健康の保持・増進を図るための諸活動までも含んでいる。このような精神保健の基本的視点や基礎知識を学習し、現代の精神保健の意義や課題を考える。また、ライフサイクルにおける精神保健、及び精神保健における個別課題(アルコール関連問題対策、薬物乱用防止対策など)への取り組みについても学習していく。さらに、精神保健福祉法など精神保健施策の概要についても学習する。

設題2

「精神保健活動の実際について述べなさい。」

 精神的健康の保持と増進を目的とする様々な活動のことを意味する精神保健活動は、家庭、学校、職場、地域などの様々な生活の場から捉えることができる。中でも人間のパーソナリティや精神的健康の源ともいえる家庭は、精神保健活動において重要な生活の場であるといえるだろう。したがって、ここでは精神保健活動の実際を、家庭からみてまとめ、今後の課題について考察していく。

1.家庭の精神保健問題について
 人間がパーソナリティを形成する上では、家族の中の重要な人物である両親(特に母親)との関わりの質が重要である。もし児童が親から虐待を受けるなどの事実があった場合、児童のパーソナリティや精神保健に重大な悪影響が及ぶ。また、児童のみならず、他の家族成員にとっても、精神保健上の問題の火種となる。例えば、虐待を受けた児童は、成長するに伴って親に対する攻撃性を高め、家庭内暴力、不登校といった不適応行動を示す可能性がある。あるいは、この児童が大人になり、子供をもうけたとき、我が子に虐待をしてしまうという、虐待の連鎖も考えられる。さらには将来、両親に介護が必要となったときでも、虐待を受けたという怨念から、介護についてまったく無関心な態度を示したり、介護を担うとしても義務的になり、両親に暴力やネグレクトなどの虐待を仕向けることなども考えられる。このような一連の悪循環は、家族の精神保健上の問題となる。
 こうしたことから、虐待をする親の行動を阻止することが第一義的に求められる訳だが、問題は、虐待をする親に罰を与えるだけでよいというほど単純なものではなく、虐待を繰り返してしまう親の精神的健康の側面をも考慮しなければならないということである。
 そもそも虐待というのは、今に始まったことではなく、昔から存在したが、最近の虐待には、少子化、核家族化、地域との繋がりの希薄さというものが関係しており、家族の支援ネットワークの弱体化が一つの原因として挙げられる。
 例えば、育児一つとっても、昔であれば祖母や姑などから知恵を授かることができたり、子供の数も多かったから、年長の子供が下の子供の面倒を見るといった協力体制もあった。ところが今や、離れて暮らす家族が多く、合計特殊出生率に見られるように、子供の数は平均して二人に満たない状態である。よって母親に育児の負担が集中することになる。さらに母親自身は、成長の過程で育児に接する機会を持ちえず、子育ての経験・知識がないから、母親は自身が子供を産んで初めて子育ての大変さに直面するのである。
 以上のように考えてみると、脆弱な支援ネットワークしか持ちえない現代の家族が、地域や行政との関わりなしに子育てをすることには、非常に無理があることで、結果的にストレスのはけぐちとして、立場の弱い児童に対する虐待というものを生じさせてしまうと考えられる。
 つまり、現代の家庭における精神保健上の問題は、地域や行政の活動が、家庭の子育て支援や家庭支援に対して関わりを強めていく必要性を生じさせているのである。

2.精神保健活動の実際
 家庭からみた子育て支援や家庭支援における精神保健活動は、主として、①啓発活動、②相談機能、③法的整備の3つの側面から捉えることができる。具体的には、次のようなものがある。
①精神保健の面からの啓発活動
(a)育児学級
 核家族化が進行を続け、育児経験や地域での交流が乏しい家族が増加している中、特に母親は地域で孤立しがちである。「子育てが楽しくない」「些細なことでも心配だが相談先がない」など、子育ての不安、負担感が大きく、ストレスを感じている母親は多い。こうした母親と児童をサポートするために、地域の保健所や保健センターなどの保健機関で育児学級は開催されている。
(b)母親学級
 主として初妊婦を対象とし、妊娠から出産までに必要とされる知識を習得するための教室である。市区町村の保健センターや保健所などで実施されている。また、病産院で開催しているところもある。内容としては、妊娠中の日常生活や食生活のポイント、妊娠体操、出産時の呼吸法、新生児の沐浴や授乳の方法など、妊娠・出産・育児に関することである。
②相談機能を持つ専門機関
(a)児童相談所
 児童に関する全般的な相談に応じる機関である。その基本的業務は、相談・判定・指導・措置・施設入所・一時保護などで、さらに親権者の親権喪失宣言請求や、後見人の選任及び解任の請求を家庭裁判所に行う業務もある。
(b)児童家庭支援センター
 非行や虐待などの問題について、児童、母子家庭、地域住民などからの相談に応じて、助言・指導を行うとともに、児童相談所との連携・連絡調整を行う機関である。
③法的な整備
(a)児童虐待防止法
 虐待を早期に発見し、公的な機関が権限を持って介入できるように機能強化を図った法律である。
(b)児童福祉法の一部を改正する法律
 保育を欠く児童への対策が中心であった現行の児童福祉法を、地域における子育て支援事業を法に位置づけ、全ての家庭に対する子育て支援を市町村の責務として明確にしようとする法である。
(C)次世代育成支援対策推進法
 2002年にまとめられた「少子化対策プラスワン」の考え方を手本にしており、地域における子育て支援や、母子健康の確保、教育環境の整備、子育てに適した居住環境の確保、仕事と家庭の両立支援などを計画的に推進することを目標とする法である。

3.精神保健活動における今後の課題
 以上のような、家庭の子育て支援や、家庭支援に関わる精神保健活動を、さらに促進し、より実際的なものに改善していくところに今後の課題がある。
 例えば、育児学級については、単に知識を得るための教室とするのではなく、グループワークを取り入れるなど、母親の仲間作りに重点を置いた育児学級を展開していくことが重要である。
 また、母親学級についても、同時期に出産する地域の育児仲間を作る機会として捉える視点を持つことが必要である。
 相談機能を持つ専門機関については、児童相談所における、職員の高度な専門性の実質的な確保や、児童家庭支援センターとの緊密な連携、さらに虐待発生の予防と共に精神的なケアシステムの構築といった点に課題がある。
 法的な部分については、児童虐待防止法に法改正の検討が明記されていることから、今後は、より現実に即した、充実した内容に改正していくための取り組みが課題となる。
 そして最後に、家族自身が精神保健活動に参加することも課題として挙げたい。なぜなら、地域や行政におけるどんな精神保健活動も、家庭の機能そのものを全て代替することはできないのであって、家族が頑なに閉鎖的な態度をとり続ければ、対応は困難となりやすいからである。
 家庭・地域・行政が連携して子育てを支援し、虐待など、家庭の精神保健上の問題に取り組んでいく。それと同時に、近年指摘されているドメスティックバイオレンスや、アルコール中毒の問題なども、家庭における精神保健の問題として捉え、これらについても多方面から家庭支援を行っていくことが精神保健活動における今後の課題であるといえる。

【参考文献】

  • 中島恒雄『保育児童福祉要説』中央法規 2004年
  • 福祉士養成講座編集委員会『新版 介護福祉士養成講座⑩/第2版 精神保健』中央法規 2003年
  • 福祉士養成講座編集委員会『新版社会福祉士養成講座4 児童福祉論 第2版』中央法規 2003年
  • ミネルヴァ書房編集部『社会福祉小六法2003〔平成15年版〕』ミネルヴァ書房 2003年



■■レポートを書くときの思考過程はこれ■■

レポートの課題に対する自分の考えが存在するのか、しないのか?


これが、レポートを書き始めるときに、最初に思いを巡らせるべきことです。


今回の場合は、冒頭の目標規定文で書いているように


現代の家庭における精神保健上の問題は何か?


というのが課題です。


次に考えるべきことは、2つに分かれます。

まず、


思い当たる考えがある場合、もしくは思いついた場合

その考えを支持する根拠が、どの文献に書いてあるかを探すことになります。


レポートでは、思い付きというのが意外と大切で、これにより文章の方向性が決まってしまうことも多々あります。


今朝見たニュースからアイデアが出ることもあるし、過去の実体験からヒントを得ることもあります。


そして、もちろん図書館に行って、参考図書をたくさん借りてきたリ、今でいえばネットで検索することもヒントになります。


こうして根拠となる文献が見つかったら、参考文献として引用するなどして、説得力を高めるようにして文章を書きます。

一方、


課題に対する考えがない場合、もしくは思いつかない場合はどうするか?


という問題があります。


この場合は、


テキストや、他の文献にある課題の解答やヒントを探す作業をすることになります。


解答要素がみつかったらそれに対して、同意できるかどうかを検討することになります。


一部同意できないなら、それをメモしてレポートに活かします。


次に、解答要素を探しても、どうしても見つからない場合はどうすればいいのか?


それは、


科目の知識を学習して吸収し、自らの考えを捻出する


ということを実践します。


つまり、教科書の熟読です。


不思議なもので、本というのは繰り返し読むことで理解が深まるものです。


優れた本ほど、その傾向が強いです。


もし、駄作の本が指定教科書になっていたら、他の文献を参考にして熟読しましょう。


以上、レポートを書くときの思考過程をいろいろ述べましたが、するべきことは、


設題に回答するために、調べ、考え、アウトプットする


というシンプルなことです。

上記のことを実践することで、効率的にレポートが書けるようになります。


注意するべきは、テキストや文献から解答要素を探すときです。


書いてあることをそのまま自分の意見や考えとして書いたらコピペといわれます。


なので、その解答には、自身の解釈を加える必要があります。


自分の解釈を加えて、リライトするのです。


書いてあることを、そのままに同意したとしても、やはり何か自分なりの好みや思考はあるものです。


そこをフォーカスして、自分の文章として書いていくのです。


自分の文章として、堂々と書き出すと、文にパワーが感じられるようになります。


多少、大上段に、上から目線で書いても、おかしくはありません。


大学生のレポートは、まるで、評論家とでもいえるような文になることも珍しくはないのです。


当ブログで公開してたレポートを見れば分かるように、結構偉そうなことを書いているのが分かるかと思います。


でも、それでいいんです。


逆に、謙遜し過ぎて、


必ずしも、そうとはいえない


とか


自分には、そんなことを言う資格はないが・・・


といった表現は、過剰になると、マイナスに評価されます。


最悪「字数稼ぎ」と判断されることもあるので止めましょう。


ちなみに、


レポートを効率よく書くには、最初から教科書を熟読した方がいいのでは?


と思った方がいるかも知れません。

たしかに、その方法は、無駄ではないのですが、設題をまず、把握したうえで教科書を読んだ方が、より効率がいいし、必要な個所をさらに重点的に熟読できるというメリットがあります。


なので、設題も見ずに教科書を読み始めるのはベストではないということになります。



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