低所得者に対する支援と生活保護制度(第31回問題68)

問題 68 事例を読んで,L相談支援員(社会福祉士)の支援として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
〔事 例〕
夫と死別したT市在住のMさん(39 歳)は,長男(14 歳)とアパートで生活している。Mさんは長男の高校進学を考え,パート勤務をしているが生活が苦しく,安定した生活を望んでいる。そこでMさんは,T市の生活困窮者自立相談支援事業を実施している市役所のL相談支援員に相談した。

  1. Mさんの生活が苦しいので,給料を上げるよう勤務先の店長にお願いした。
  2. 長男の中学校の学級担任に相談内容を記載した相談記録票を見せて,家庭の状況を説明した。
  3. 公共職業安定所(ハローワーク)のキャリアコンサルティングに従事する職員と協働してMさんを支援することにした。
  4. 婦人保護施設への入所を勧めた。
  5. 住居確保給付金の利用を勧めた。

社会福祉振興・試験センター

この問題の正解はキャリアコンサルタントとの協働である3番です。
あくまで選択肢の中で最も適切なものを選択しろということですので、現実の支援においての唯一の正解ではないことに注意してください。

3番の選択肢は相談してきた人の能力を活かして支援するのが適切だからという理由が働いている。1の選択肢のように職場の店長に昇給を依頼するのは相談支援員のすることではない。2番の行動は無関係。4番5番については、いきなり保護施設や入所施設の利用を勧めるのは最初にする支援としては順序がはやい。

住居確保給付金は、その名の通り住宅の確保をするための制度でアパート暮らしをしている現段階のMさんには最も適切とはいえない。
現状で重要なことは、Mさんの収入が増えていくような支援をまずは行うことが適切といえる。キャリアコンサルタントと連携したところで収入が増えるかは未知数だが、まずはMさんの意向や能力を見極めつつ、必要に応じて福祉制度の利用を検討すべきである。

この問題は、社会福祉士はあらゆる社会資源を活用することが求められている事実を示している。
福祉制度のことを広く知っていることも重要ですし、他の専門職との連携も必須となる。

ちなみに、生活を安定させる手段が就労のみとは限らない。今の時代、いろいろな働き方や稼ぎ方があるので、ハローワークとの連例が正解とは限らない。いまどきはネットから仕事を探すこともできるし、Mさんが気づいていない思わぬ能力があるかもしれない。
社会福祉士は援助対象者の自立を支援するために広範な知見が求められていることがわかるでしょう。

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