相談援助の基盤と専門職(第32回問題91)

問題 91 社会福祉士及び介護福祉士法に規定されている社会福祉士の義務等に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。

  1. 資質向上の責務として,相談援助に関わる後継者の育成を行わなければならない。
  2. 秘密保持義務として,その業務に関して知り得た人の秘密は,いかなる理由があっても開示してはならない。
  3. 信用失墜行為の禁止として,所属組織の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
  4. 連携保持の責務として,業務内容の変化に対応するため,知識と技能の向上に努めなければならない。
  5. 誠実義務として,個人の尊厳を保持し,自立した日常生活を営むことができるよう,常にその者の立場に立って,誠実にその業務を行わなければならない。

正解

社会福祉振興・試験センター ウェブサイトより引用

解説
社会福祉士及び介護福祉法は、過去の試験問題からも度々出題されています。受験生は条文に目を通しておいて損はないでしょう。何せ社会福祉士の定義が明記されている法律なので、他の法律に比しても、その重要度は高いものとなっています。

各選択肢について解説すると次のようになります。

  1. 後継者の育成は無関係。後継者の育成は、重要なことだが社会福祉士及び介護福祉士法の意図するものではない。
  2. 「いかなる理由があっても」のワードに注意。正当な理由があれば秘密は必要な範囲内で開示する可能性はある。ちなみに秘密保持義務は社会福祉士でなくなった後も適用される。
  3. 所属意識の信用を失墜するかどうかは規定されていない。あくまで社会福祉士・介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならないということ。
  4. 連携保持の責務ではなく、資質向上の責務として記述されている
  5. 社会福祉士及び介護福祉士法第四十四条の二に明記してある。
    何をもって誠実か?は、解釈に幅が出るところだが、少なくともいえることは、嘘や偽りなく相手をだます意思がなく、いい加減さがないことが誠実といえる。

今回の問題は、社会福祉士介護福祉士法の知識がないと正確には答えられません。もし知らなかった場合は、選択肢の中から正しそうと感じたものを選択することになります。

引っ掛かりやすいのは選択肢の4番です。「連携保持の責務」なんて記述があったか?となりやすい。

4番以外の選択肢は、社会福祉士及び介護福祉士法の趣旨と対象をざっくりとでも理解していれば「後継者」や「所属組織」の記述が間違いであると感づきます。

また、選択肢3の「いかなる〇〇」という文言は例外を排除する言い方なので、間違いの可能性が高いと感じられるでしょう。
以上のことから、最後に残った選択肢5が正解となるわけです。

正解 5


コラム
社会福祉士及び介護福祉士法は、社会福祉士にとって身分保障をする法律であり、最も重要な法律です。
社会福祉士の定義がここには明記されていますし、責務や禁止事項が記述されていますので機会があるごとに目を通しておくと何かと役立ちます。
受験生だけでなく、すでに社会福祉士となった人も専門性を担保する根拠となる法律ですのでお勧めです。

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