教科書通りの介助法で腰を痛めていませんか?

あなたは、社会福祉士の仕事が、相談援助業務なので、体力がなくても勤まると思っていませんか?

その疑問はもっともなことだと思います。

私の学生時代にも、クラスメイトに「社会福祉士は体力が衰えても務まりそうだから」という理由で資格取得を目指している人がいました。

介護福祉士に比べて、社会福祉士は体力がなくてもいいというホワイトカラーのイメージがあるのでしょう。

この疑問に対する結論から申しますと、
「社会福祉士は体力はなくても務まるが、体力がある方がいい」
ということになります。

問題は、体力という言葉の意味です。

ここでいう体力とは、重たい利用者の移乗や排泄の介助のこととして考えみます。

重たいというのは、自分の体格に比してということになりますので、女性の場合、多くは介助自体が腰に負担のかかる業務に該当するこことになるでしょう。

でも、ちょっとまってください・・・・

「社会福祉士は相談業務をするのだから、介護はしないでしょ?」
と思った方がいるかも知れませんが、施設によっては相談員であっても介護職員と同じように介護をすることはあります。

特に、男性の場合で、小規模デイサービスの相談員や、障害者の生活支援員のような職種をしていると介助量が多くなりがちです。

もし、あなたが体力に自信がない場合は、最初からこうした体力を要する職種を選択肢から外すことをお勧めします。

他の職種を選べるのであれば、転職するなり、最初から介助をする相談食を避けるのが得策です。
健康第一ですからね。

でも、いろいろな事情から、やらざるを得ない場合には、腰や首を痛めない介助技術を身に着ける必要があります。

例えば、こういう介助の仕事があったとします。

介助2
『介護福祉士国家試験・実技試験免除のための介護技術講習テキスト』社団法人日本介護福祉士養成施設協会 平成17年 166頁

これは、介護技術の教科書の画像ですが、この介助は教科書的には正しくても、実際には腰を痛めます。

教科書に書いてあることは基本なので、それはそれで理にかなった方法ですが、プロであれば、そこへ応用を利かして、教科書に載っていない方法を加えることが必要です。

では、私が訪問介護と生活支援員を10年以上やってきた実践の中から編み出した介助方法を一つお伝えします。

それは、
腰以外の、肩・腕・膝に負担を分散させるように介助する方法です。

名付けて
「腰以外分散介助法」です。
そのまんまですね。

この方法は、腰への負担をゼロにすることは不可能ですが、できるだけ腰には負担をかけないようにすることができます。

では、どうやって介助するのかというと、介助する際に腰以外のパーツをフル活用するということになります。

肩、膝、肘、脚に力を入れて、腰への負荷を減らすように介助します。

立ち上がり
『介護福祉士国家試験・実技試験免除のための介護技術講習テキスト』社団法人日本介護福祉士養成施設協会 平成17年 88頁

こういう介助をする場合も、腰以外の身体のパーツに力を入れます(重心を近づけることは重要です)。

その際、利き手ではない方の手と足に力を入れることに注意してみてください。

人間は、無意識に利き手の方に力を入れているので、意識して利き手ではない方の手に力を入れるのがコツです。
意識しすぎて、非利き手の方に力を入れすぎるとバランスを崩すことには注意してください。

人間には、利き手だけでなく、利き足もありますので、脚の方も意識して介助すると、より負担が分散されます。

ここで一つ前提があります。
それは、普段から利き手ではないほうを使う訓練をしておくということです。

訓練といっても、筋トレをするほどのことはないですよ。

日常生活動作の中で、
例えば歯を磨くとか、ごはんを食べるとか、字を書くとか、マウスを操作するといった動作を利き手ではない方の手で行うのです。

最初は、やりにくいと思うので、自宅でできる範囲でいいので実勢してみてください。

私の場合、茶わんを洗うときにスポンジを左手で持つところからはじめて、左手でのマウス操作、次いで左手でお箸を持つことをしていました。

今では、左手で文字を書くこともできます。

利き足ではないほうの足を訓練する方法としては、ズボンをはくときにいつもと違う方から履くというのがあります。

これは、意識しないとできませんが、いったん意識すると毎日数回は訓練することができます。

ちょっとした動作ですが、これで介助の時に使う筋肉がだいぶ違ってきます。

こうした非利き手側の訓練をして
しばらくすると、筋肉がついていることに気づくと思います。

ちなみに私は、マッチョではありません。(背は高い方)
スポーツをするわけでもありません。(インドア派)

こんな私でも介助で腰を痛めずに済んでいるのは、上記の方法を使っているからです。


もちろん、人によってはこの方法は使えないこともあります。

そもそも介助者の体重や体力に比して、重たすぎる人の介助をさせられていたり、
腰痛の持病があるなど、根本的な問題があるのに介助をしているケースでは有効とは言えません。

その場合は、やはり無理をしないで転職することや、転勤の希望を出すといった方法が現実的でしょう。


で結局、今回の介助法の話ですが・・・・・
「腕力を鍛えろという話か?」
と思うかも知れませんが、一定の効果は望めます。

腰を鍛えようとするのはお勧めしません。
腰は鍛えにくい場所であり、かえって腰を痛めるからです。

その点
利き手ではない方の手は、開発の余地があります。

普段から左手を使うことを意識するだけでも、腕力が強くなるので、試してみてください。


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