社会福祉士レポートアーカイブ(社会福祉原論-設題1)

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実際のレポート作成例をここに提示します。
福祉の歴史や概念から、専門職としての在り方まで、幅広く福祉について学習する科目です。基礎的科目でありながらも、専門的科目の要素も備えている重要科目です。

ポイント(学習ガイドより)

 現代においての社会福祉の援助の対象はどのような人々を指すのか、またその援助を行う主体となるのは誰なのか、そしてその目的は何なのかを概念として捉えること。その上で援助者がどのような視点を持つべきなのかについて考えること。

科目概要(学習ガイドより)

 社会福祉に関する基礎知識の体系的な習得を目指す。具体的には、現代社会において社会福祉が果たしている役割や機能、福祉専門職としての資格である社会福祉士として活躍するために必要な基礎知識、社会福祉の歴史(社会事業成立以前、社会事業成立期、戦後)、社会福祉の法体系と運営実施体制、社会福祉の財源と費用負担、民間社会福祉の組織と活動、日本の社会福祉の動向と今後の課題などについて学習する。

設題1

「社会福祉の対象、主体及び目的について述べなさい。」

1.社会福祉の対象
 社会福祉の対象には大きく分けると、次の2つの視点がある。
⑴生活問題(社会問題)
 生活問題とは、自らの生命の生産が不完全にしか行えなくなった人々の状態をいう。この状態を直接的にもたらす契機のうち、自立性の欠落のある生活問題の主なものとして次の3つがある。
 第1に、失業・低賃金・労働不能などによる生活費の不足と、家族による経済的扶養が十分に対応しない状態という経済的な欠落にあるもの。
 第2に、日常生活の活動能力が失われ、または備わっておらず、家族による介護・養護などが対応しない状態のもの。
 第3に、認知症、重度知的障害、常習的非行、犯罪者など、自律的なパーソナリティを持ち合わせておらず、家族がそれに対応できない状態にあること。
⑵福祉ニーズ
 1970年代に入ってから生活問題を福祉ニーズとして捉える新たな視点が登場した。福祉ニーズとは、対象となる人々の生活に関わるニーズのうちで、他からの援助を必要としているのに、家族の扶養などの一般的な充足手段によってニーズを充足できない状態を指す。福祉ニーズは、通常生活の単位としての家族が安定し、地域社会における相互扶助が機能していれば、一般的には充足されるが、高齢、母子世帯、傷病、心身障害などのハンディキャップによって生まれる個別的なニーズには、家族などの私的扶養や、市場機構を通じて充足できないニーズもある。

2.社会福祉の主体
 社会福祉の主体は、誰が、または、どの機関や組織が社会福祉の運営管理に責任を負うかという問題に関わっているもので、大きく分けると次の3つに区分される。
⑴社会福祉の政策主体
 社会福祉の政策主体は、国と地方自治体である。伝統的な社会福祉行政の中では、社会福祉に関わる政策の企画立案、制度の創設と、その運営管理、援助の実施、費用の調達などに関する事務は国のものとされ、そのうち主として、援助の実施に関する部分が機関委任事務として都道府県知事や市町村長に委任されてきた。しかし、1980年代以来の福祉改革の過程において、その機関委任事務が都道府県や市町村に対する団体委任事務に改められ、同時に一度都道府県に委任された権限の一部が町村に移管された。この改革によって老人福祉サービスや身体障害者サービスについては、そのほとんどの権限が市町村に移管されたことになる。
 これらの改革は社会福祉施策の企画立案や援助の過程に地方自治体の実情を反映させ、市民の生活にできるだけ近い所で施策を策定し、必要な援助を提供できるようにするための措置であった。この改革によって国の役割は全国的な施策制度の策定、運営管理に関するガイドラインの設定、都道府県間の調整、費用の調達と負担などに限定されることになったが、社会福祉に対する最終的な責任が、国に存在することに変わりはない。
⑵社会福祉の運営主体
 社会福祉の政策主体の水準における変化は、社会福祉における分権化として把握することができる。これに対し、運営主体の水準における変化は福祉サービスの提供の多元化の傾向として現れてきており、福祉サービスを運営主体のあり方を基準にして分類すれば、以下の5種類に分類できる。
 第1の類型は、公設公営型福祉サービスである。例えば、都道府県や市町村が直営で社会福祉施設を設置し、あるいはデイサービスセンターを設置経営する場合などが該当する。
 第2の類型は、認可団体型福祉サービスである。社会福祉法人による施設の設置はこの類型に入る。ちなみに第1、第2の類型は、いずれも社会福祉に関する法律に基づいて供給される福祉サービスである。
 第3の類型は、行政関与型サービスである。この類型の典型は、武蔵野市にはじまる福祉公社方式で、第三セクターとも呼ばれている。
 第4の類型は、住民主体型の福祉サービスである。当事者団体、相互扶助型団体、ボランティア団体、生活協同組合、農業協同組合などによる福祉サービスの提供はこの類型に属する。
 第5の類型はインフォーマルサポートやネットワークである。友人や近隣者による利用者の見守り活動やボランティアによるガイドヘルパー活動などがこれに該当する。
 さらに、市場供給型生活サービスをあげる例もある。具体的には、ベビー・ホテル業やベビーシッター業などのチャイルド・ビジネス、有料老人ホームなどのシルバー・サービスがこの類型にあたる。この型のサービスには、すでにかなりの需要があり、将来の発展も期待されている。
⑶社会福祉の実践主体
 公私の組織である社会福祉施設・機関・団体に所属し、社会福祉の第一線で援助活動に従事する福祉専門職従事者などが社会福祉の実践主体に該当する。具体的には、社会福祉関係法令に基づき、社会福祉機関や施設などに配置されている専門職種(社会福祉主事・生活相談員・児童指導員・保育士など)が存在する。
 これら、援助者である社会福祉の実践主体は、援助を必要としている人と同じ目線で接することができなくてはならない。さらに援助者の声にならない真のニーズを汲み取る洞察力や、益々複雑化する社会の問題を乗り越えられる忍耐力や向上心も必要である。「社会福祉士及び介護福祉士法」制定以後は、社会福祉士と介護福祉士が新たに援助主体として参入してきた。今後、福祉専門職の有資格者は次々と誕生し、一人の実践主体が複数の役割をはたしていくことが求められる。

3.社会福祉の目的
 憲法第25条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあるように、現代において社会福祉とは、生涯におよぶ生活の危機や起伏に直面し、生活を維持することが困難になった人々に対して一定の援助を提供し、生活に関わる困難や障害の解決・緩和をはかると共に、憲法25条を国民の権利として保障することをめざして展開されている社会的な施策・制度の体系である。
 また、生活保護法の目的の中に、生活困窮者の「最低限度の生活を保障すると共にその自立を助長する」とある。これは生活保護が単なる生活保護費の給付に終わることなく、受給者の自立の可能性を助長するよう配慮し、実施されることを意味するものである。
 つまり、社会福祉の目的とは、貧困を社会的責任と捉え、権利としての社会保障観を定着させ、公的扶助の受給者が民主主義の担い手として、経済的にも人格的にも自立できる方向への援助を目指すことである。その具体策である福祉六法、すなわち生活保護法・児童福祉法、身体障害者福祉法・精神薄弱者者福祉法・老人福祉法・母子及び寡婦福祉法は極めて重要であり、急激な社会情勢の変化によって、これらの法律の不備も改正していかなくてはならない。さらに社会福祉の実践主体である福祉専門職従事者の育成や、意識の向上、労働条件の改善などが必要であり、今後の課題でもある。

参考文献

  • ミネルヴァ書房編集部「社会福祉小六法2001[平成13年版]」ミネルヴァ書房 2000年
  • 京極高宜「現代社会福祉レキシコン」雄山閣出版 1993年



■■レポート作成では必ずしも教科書を使わなくてもいい■■

社会福祉原論が取り扱う領域は

  • そもそも福祉って何?
  • 社会福祉の法的事項について
  • 福祉系資格制度の在り方

上記のように幅広く取り扱っていました(現在、この科目は国家試験科目としては廃止されています)。

それだけに大学のレポートにおいて、社会福祉原論のレポートを書くということは、その大学が採用する教科書、そして設題によって学習する事柄が大きく変わってくることを意味します。

私の母校である東京福祉大学では、当時、学長をしていた方の執筆した書籍が教科書として指定されていたのですが、複文の多い書き方で、何度も読み返さないと内容が頭に入らないような書籍でした。

哲学的な表現も多く、大学1年次の学生が読むには、歯ごたえがありすぎる

そう判断して、今回のレポートでは、実はこの教科書は使用しませんでした。

社会福祉原論というタイトルの通り、著者の福祉観が書かれていて良書でしたが、こと学生がレポートの作成に参考にするには不向きだったのです。

ここで、あなたは

指定された教科書は必ず読まなくてはいけないのでは?

と思ったかもしれませんが、必ずしもそんなことはありません。

教科書以外の書籍を参考にすることもあります。

例えば、当レポートの設題が「教科書の○○ページを読んで考えを述べよ」といった内容だったら、話は別です。少なくとも、その該当部分に関しては読む必要があります。

しかし今回の設題は他のテキストを参考にして書いても支障の無い設題内容となっています。

他に、設題内容を満たせそうなテキストがあるならば、さっさと乗り換えた方が効率的にレポートが仕上がるのです。

もちろん、教科書を参考にしなかったなんて、わざわざ断りを入れる必要はありませんよ。


さも教科書を読んでいるふりをしていいのです。


実際、パラパラと拾い読みくらいはしている前提ですので何ら問題はありません。

さて、今回の例でいえば、設題は

社会福祉の対象、主体及び目的について述べなさい

となっているので、それらが記載してある書籍を探すことになります。

その際、どんなタイトルの本を探せばいいのかというと、

  • 社会福祉原論
  • 社会福祉概論
  • 社会福祉入門
  • 社会福祉の歴史

上記のようなタイトルで探すことで、おおよそレポートを書ける素材を集めることができます。

大学や公立の図書館で検索してみてください。

本を用意したら、まずは目次をよく見て、該当するキーワードを探します。

今回の設題の場合は、

社会福祉の対象、主体及び目的がキーワードとなります。

キーワードに付箋を張り付けるなどして、チェックし、該当部分がレポートに使えるか精査します。

使える箇所が見つかったならば、その部分を要約しながら、メモ帳などにまとめていきます。

常に、設題内容や学習のポイントを意識しながらまとめていくことが大切です。

使用した書籍が適切で有れば、この時点でレポートがほぼ仕上がることもあります。

問題は資料の探し方が悪くて、思うようにまとまらない場合です。

こういうときのために、図書館での書籍検索と予約は、事前に最大限済ませておくことが大切です。

たくさん用意すれば、中には使えるものが少しはあるだろうよという作戦です。

本というのは、中身をみてみないと良し悪しが分かりませんからね。

必要な時になって必要なものを揃えようとしてもなかなかうまくいかないものです。

私の場合は、常に公立図書館で借りられる冊数の最大値(10冊)を予約するようにしていました。

多くの本

今回のレポートでは、僅か2冊の参考文献の記載になっていますが、実際には10冊以上の本を借りて参考候補にしています。

参考の度合いが弱い本に関しては、あえて参考文献として掲載していませんが、これは珍しいことではありません。

たくさんの候補の中から、優れた文献をチョイスすることで、いい文章が書けます。

今回、借りてきた本の中で、一番参考になったのは「現代社会福祉レキシコン」です(京極高宜著)。

これは、カテゴリーとしては、福祉の辞典なのですが、一つひとつの用語に対して、詳細に解説してある名著です。

当然、社会福祉の対象・主体・目的が書いてありました。

発売されたのは古くとも、福祉系大学院生も利用するほど有用性のある書籍でした。

国家試験対策の用語辞典とは一味違った濃い内容となっており、レポートの採点者である教員も研究者であるならばよく知っている本ですので、こうした書籍は信頼度が段違いに高いという点も、利用価値の高さを示す点として挙げることができます。
ちなみに著者の京極高宜氏は、東京福祉大学にて博士号を授与されている人物で、日本社会事業大学の学長をしていたこともある人物です。要するに業界で有名な人が執筆した書籍だということです。

これとは逆に、


まったく参考にならない本も中にはあるので、だからこそ図書館で文献を借りる際は最大数借りることをお勧めしている訳です。

私の失敗談を一つお話ししましょう。

以前、レポートの中で、保健所について書くことがあり、図書館からいつものごとく図書を10冊借りてきたときのことです。

ところが、その中の1冊は幼児向けの図書でした。

「ほけんじょ」というタイトルの絵本で、かわいらしいイラストと共に保健所ではどんなことをしているのかが描かれていました。

思わず笑ってしまいましたが

苦笑い

さすがにこれは参考にはならないので却下したという次第です。

よく確認せずに予約したのが悪いのですが、要は、本の当たりはずれを最初から想定した上で「たくさん借りてきて、片っ端から必要な情報を手にしましょう」とお伝えしたかったのです。

もちろん、本は重たいので、図書館が遠い場所にあるなどの事情がある場合は、なかなか大変なこともあると思います。

その場合は、自身の生活における移動ルートを検証してみるといいですよ。

例えば、職場近くの図書館を利用するなどの方法で、わざわざ図書館に出向かなくても通勤途中に借りられないかを検討してみてください。こうすれば移動時間のロスが少ないので、5冊ずつ2回に分けて借りるなどすれば重たい本でもたくさん借りることができます。

また、職場でなくても、ルーチンで定期的に通わなければならない場所があれば、その近くに図書館がないか調べてみてください。


最近は、公立の図書館は駅ナカにあったりして、非常に使い勝手がよくなっています。


図書館そのものが駅ナカにはなくとも、受取りや返却が駅ナカでできるシステムになっていることもあります。私の自宅の最寄り駅には、数年前に駅ナカに図書館本の受取り・返却カウンターが設置されています。

あるいは、人によっては大学の図書館を利用できる環境の方もいるかも知れません。その場合はホントにラッキーで(本だけに)、学生として図書館を使い放題です。

ちなみに私の母校である大学の図書館は、群馬の本学にありましたので、東京在住の私には、ほとんど利用できませんでした。

自宅から歩いて15分くらいのところにある公立の図書館が頼りでした。

そんな訳で、本当に公立の図書館にはお世話になりました。

感謝

図書館のおかげで大学を卒業できたといっても過言ではないです。

特に通信制大学では、独学の要素が非常に強くなるので、まさに本が先生といってもいいのです。

読書

最後に、本の読み方についてのコツをお伝えします。

本は全部精読する必要はありません

そんなたくさんの本を全て精読するのはなかなかできないことです。


第一時間がもったいないです。


必要なところをピックアップしてレポートに活用していく

これがベストです。

そして、用意したたくさんの本を読む際には

一度しか読む時間はない

というつもりで読んでください。

これがコツです。

そして読んだときに感じた事を記録します。

このとき、設題で問われていることを常に意識していることが重要です。

漫然と書籍を読んで、それを記憶しようとするのは無駄な読書法です。

設題で問われていることに回答するために、一度だけ読むんだ

そういうつもりで読書することが大切です。

そして感じたことは記録するのです。後でメモしようとすると必ず忘れます。

インスピレーションを感じたら、電話が鳴っても、メールが来ても無視して、すぐにメモしてください。

そして、後でそのメモにあることを精査するために、もう一度資料にあたるのです。

これが、レポートを早く書くための読書術です。

ぜひ検討してみてください。


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