社会福祉士レポートアーカイブ(国際関係論-設題1)

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社会福祉士の指定科目ではありませんが、専門必修科目として履修した科目です。


内容としては、福祉とは関係なく、純粋に国際関係を学習する内容となっています。


最近は、イギリスのEUからの離脱決定、トランプ大統領の保護主義などがあり、国際関係論は、話題にこと欠くことがありません。


日々のニュース番組をチェックすることは、非常に勉強に役立つ学習といえます。

学習のポイント(学習ガイドより)

冷戦以降の経済ブロック化への流れと各ブロックについて考察すること。さらに、ブロック化に反する動きについても論究すること(WTOやボーダレスエコノミーまで論及してみても良い)。

科目概要(学習ガイドより)

今日、市場経済の共有とグローバル化は、世界規模の戦争の公算を減らす一方、失業者の増大、弱者の切り捨てなど、様々な社会問題を生じさせている。また、それは、特定の国家や地域の通貨・金融危機を生じさせ、第三世界の政治危機の素地を作っている。この科目では、このようなグローバリゼーションの肯定的な面と否定的な面を取り上げ、国と国との関わり合いの多面性について理解を深める。

設題1

「世界各地で進んでいる経済ブロック化について述べなさい。」

 冷戦の終焉によって核戦争の危機をはらむ東西両陣営の緊張はなくなったが、代わって新たな問題が浮上してきている。それは、各国で経済ナショナリズムが強まり、地域統合を目指す「リージョナリズム(地域主義)」の動きが活発になって、経済のブロック化の危険が生じていることである。
 その流れは、冷戦前からのヨーロッパ経済統合に始まり、アメリカ、アジアへと続いている。世界の経済統合(経済のブロック化)は、3極化のうねりの中にある。
 まずは、これらの経済ブロック化への流れと各ブロックについて考察する。

1.ヨーロッパ地域の経済統合(EU)
 西ヨーロッパでは、1958年に欧州経済共同体(EEC)が発足し、1967年には欧州共同体(EC)に発展した。その後1993年には、12ヵ国の間で人・物・サービス・資本の移動の自由が実現し、第一の欧州市場が完成するに至っている。さらにECは、東西冷戦の中で中立的政策をとっていた欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国との間に欧州経済地域協定(EEA)を結び、市場統合の実質的拡大をはかった。その後ECは、1993年の欧州連合条約(マーストリヒト条約)の発効によって、市場統合を経済通貨統合・政治統合にまで発展させることをめざす欧州連合(EU)となった。
 ヨーロッパの統合には、EEC以来の歴史と経験があり、経済統合や市場統合についての議論だけではなく、人権や環境についての共通化の議論と実践も積み重ねられてきた。EUは今後、文化や民族の統一まで果たそうという勢いである。しかし、EUの政治統合の流れは、主に経済に主眼が置かれたものであり、本当に文化や民族の統一までを必要としているかは疑問の余地が残る。

2.アメリカ地域の経済統合
 アメリカは、EUの動きに促されるかのように1994年、カナダ、メキシコとの間で北米自由貿易協定(NAFTA)を発足させている。総人口3億8000万人、GDP6兆5000億ドル(EUと同規模)の巨大な統合市場である。域内に関しては自由貿易、直接投資、知的所有権などの市場開放を目指しているが、域外に対する通商政策においては各国の権限が維持されている。
 アメリカはNAFTAによって、1つの自由貿易圏をまとめているが、今後はNAFTAを南米諸国にまで広げ、南北アメリカ大陸をカバーする米州自由貿易圏(FTAA)を創設しようという動きもある。
 一方、中南米は、NAFTAがメキシコの経済危機に大きな役割を果たしたことを教訓にメルコスール(南米南部共同市場)を誕生させたが、アメリカの米州自由貿易圏構想に関しては「EUに対抗するための、アメリカを中心とした、アメリカの独占資本市場の形成である」として警戒心を強めている。冷戦後の中南米における「アメリカ離れ」の姿勢が鮮明になってきている。
 これらのことから、現段階においては、NAFTAがEUのような、政治統合をも含めた地域的広がりを持つ、地域統合になる可能性は低いと考えられる。

3.アジア太平洋地域の経済統合
 アジアでは、ヨーロッパや北米に見られるような、経済の地域統合はまだ成立していない。しかし、1990年代の世界的な不況の中で、東南アジアのASEAN諸国は、台湾や香港、中国の沿海部とともに飛躍的な経済成長をとげている。
ASEANは当初、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの5ヵ国だったが、その後ブルネイが加盟し、1995年には開放経済に移行したヴェトナムを加え、さらにラオス、ミャンマー、カンボジアの加盟により、現在の加盟国は10ヵ国となっており、ASEAN自由貿易地域(AFTA)を目指した経済統合が進んでいる。AFTAは域内の関税障壁や非関税障壁を引き下げることで、さらなる経済の活性化をもたらすことを目的としている。
 また、アジア太平洋地域では、1989年にオーストラリアのホーク首相が提唱して以来、アジア太平洋経済協力会議(APEC)が活発化している。1994年には「APEC経済首脳の共通の決意の宣言(ボゴール宣言)」を採択し、域内の貿易・投資の自由化についての目標を定めている。
 こうしたアジアの経済統合に対して、神経をとがらせているアメリカは「成長するアジア」を含めた市場統合を志向している。しかし、アメリカ主導の市場統合に反対するマレーシアなどは、ASEANに日本・韓国・中国を加えた東アジア経済協議体(EAEC)結成の構想(マハティール構想)を唱え対立している。
 このうようにアジアにおいても「経済のアメリカ化」に警戒的な動きが存在している。

4.ブロック化に反する動きについて
 次は、ブロック化に反する動きについて論及する。
 リージョナリズムの1つである地域の経済統合(経済のブロック化)に反する動きには、グローバリズム(地球主義)がある。アメリカはNAFTAなどの経済統合を結成する傍ら、一方で国際社会に対してはグローバリズムを推奨している。グローバリズムは換言すると自由貿易主義である。グローバリズムという言葉は、それを聞く人によって、良い意味にも悪い意味にも受けとられるが、グローバリズムは、イコール「アメリカ化」であるとの批判がしばしばなされている。そのアメリカが推奨してきたブレトンウッズ体制からの継承であるWTO(世界貿易機関)の掲げるグローバリズムは、世界大での貿易・投資の自由化を是とし、これを積極的に進めるべきであるという理念を意味しているが、アメリカは、自らが得意とする分野については、グローバリゼーションの浸透を迫るが、自らが不利な分野については平気でルール変更してくるという批判がなされており、このことが反グローバリズムを助長する結果ともなっている。ここにアメリカの推し進めるグローバリズムの限界が見え隠れしているといえる。

5.経済のブロック化について(結論)
 輸送機関の発達や、インターネットなど通信技術の飛躍的な進歩によって、世界経済は、各国家間における、国境の存在する「国際経済」から、国境のない経済(ボーダレスエコノミー)の時代へと突入している。現代は一国で起きた出来事が、即座に世界に情報発信され、それが経済の動向に重要な影響を及ぼす社会となっている。
 経済の動向を市場にまかせ、できる限り国家の関与を少なくしていくことが最も効率的であるとする市場経済のダイナミズムは、勝ち組と負け組を明確に区分する結果を生み出し、アメリカが独り勝ちするという状況を作り出している。だからこそ、アメリカに負けまいとして、ヨーロッパやアジアのブロック化が進むのであり、また、それに対抗してアメリカも経済圏を拡大しようとするのである。
 アメリカは「リージョナリズムはグローバリズムの一里塚である」との見解を示しているが、EUやアジア諸国における今後の経済統合の展開いかんによっては、世界の経済ブロック化が深刻化する可能性は十分考えられる。
 行き過ぎた経済のブロック化は、各国の対立を招き、結果として戦争の過ちを犯してきた。自由貿易から強い関税同盟へと発展することで経済ブロックが進み、世界が同じ過ちを繰り返すことがあってはならない。

【参考文献】

  • 岩内亮一・薮野祐三『国際関係用語辞典』学文社 2003年
  • 青木一能『手にとるように世界情勢がわかる本』かんき出版 1999年
  • 野林健 他『国際政治経済学・入門』有斐閣 2003年
  • 原彬久『国際関係学講義[新版]』有斐閣 2001年



■■■■国際関係論における専門用語について■■■■

国際関係論という科目は、
独自の用語が多い
という特徴があります。


「欧州自由貿易連合」のような、長ったらしい名前を、
英語の頭文字を並べて


EFTA


といったりします。


レポートを書く際は、英語の略称を書くだけでなく、その日本語名も含めて記名したほうが、


きちんと理解している


と教員から判断されやすいので、


面倒でも、


欧州自由貿易連合(EFTA)


というように表記したほうがいいです。


WTO(世界貿易機関)
のように、略語を用いつつも、その意味をカッコ内に補足するという配慮が必要ということですね。


ちなみに、一度、補足表記したものは、以降は略語のみの表記で構いません。


何度も、日本語・英語の両表記をすると、くどい感じがするし、文字数を消費してしまうのでよくないからです。


あと、国際関係論では、


冷戦の終焉
という言い回しも、よく使います。


馴染みの無い方には、わかりにくい用語の一つといえますね。


冷戦の終焉とは、単に「冷たい戦争」というよりも、
社会主義体制の終わり、資本主義体制の勝利
という概念をも意味します。


これが
わかりにくいな
って思った人は、参考文献に示しているような、

『国際関係用語辞典』
という類の辞典を1冊でも用意するのもよいでしょう。


心理学でも、福祉でも、同様ですが、
ある特定の分野を勉強するのであれば、
全部読むかどうかは、別にしても、辞典や辞書があって損なことはありません。


今では、スマホでググるというのでも、用語は調べられます。


しかし、


国際関係論の辞典は、説明の長いものが多いです。
1つの用語を調べる過程で、解説に出てくる別の用語の意味が分からなくなったりします。


できるだけ体系的に国際関係の用語解説がなされているサイトを利用するとよいでしょう。



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