社会福祉士レポートアーカイブ(医学一般-設題2)

過去レポート保存庫

社会福祉士レポートアーカイブでは、私が過去に書いたレポートをほぼ原文のまま公開することを主旨としています。


そのため、記載内容が古い制度のものであったり、最新の情報ではない場合があります。レポート学習で参考にする際は、その古い部分を調査して書き直すなどしてみてください。


ちなみに、文章の書き方であったり、結論や意見の出し方については、読んでみて参考になる部分があるかと思います。

学習のポイント(学習ガイドより)

現在の精神障害・疾患について社会保障制度と関連づけた上で、精神保健対策として、精神保健の課題と保健活動について考察すること。

科目概要(学習ガイドより)

超高齢社会を迎えようとしている今日では、社会福祉の現場でも医療の範囲を超越した分野に対するニーズの増大が予見される。その際に福祉専門職者として要求される最低限の医療、医学の知識の修得を目的とする。具体的には、現代社会の代表的な疾患である生活習慣病や慢性疾患、臨床医学の各分野の概要、健康づくり対策、感染症対策等の保健医療などを学習する。単なる科学としての医学にとどまらず、総合社会科学としての医学の側面についても触れ、人間の生活の質を豊かにし、患者や家族の生活を支えられるよう、チーム医療のあり方についても学ぶ。

設題2

「精神保健及び精神障害者の福祉に関する対策について述べなさい。」

 精神障害者とは「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」(以下、精神保健福祉法)の第5条で「精神分裂病、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」と定義されており、その種類は多様である。
 本設題ではまず、主な精神病の特徴を列挙した後、精神保健及び精神障害者の福祉に関する対策を実施している「精神保健福祉センター」と「精神保健福祉相談員」を取り上げ、その課題と活動について述べることにする。

1.精神病
 精神病には以下のものがある。
①ノイローゼ:強い不安、恐怖、強迫観念などが募る心因性の精神障害である。几帳面、頑固、神経質な人がなりやすいといわれる。
②うつ病:死因の4分の1が自殺である。中高年がかかりやすい。過度のストレスやトラブルが長期間続いた場合に発病するケースが多い。
③躁病:感情の高揚、誇大妄想が問題行動を起こす。多弁になり、思考は支離滅裂になる。自己を過大評価することもある。
④精神分裂病:精神病院入院患者の大半を占めている。頭が重い、身体がだるいなどの初期症状があり、部屋に閉じこもり、口数が減少するといった社会適応能力の低下が特徴である。
 その他の精神障害には「ヒステリー」「薬物中毒」などがある。今後、社会が複雑化し、ストレス社会に移行していく中で、益々精神障害者は増加し、その対策は重要となっている。

2.社会保障制度
 精神障害者に対する福祉の対策は主に、後述する精神保健福祉相談員(以下相談員)がアプローチすべきだと考える。その理由は「社会保障」という言葉の定義にある。『広辞苑』によると、社会保障は「国民の生存権の確保を目的とする国家的保障。日本では社会保険・生活保護・社会福祉事業・公衆衛生を主な内容として、失業・労働災害・病気・死亡などの事態に備える。
(2)」と定義されている。このことから社会保障制度を実施する組織として「精神保健福祉センター」が、まず第一に考えられる。
 精神保健福祉センターとは、精神保健福祉法第6条から解釈すると「精神保健及び精神障害者の福祉に関し、知識の普及を図り、調査研究を行い、並びに相談及び指導を行う施設
」であるといえる。そして以下の7つの機能を有することが特徴として挙げられる。
 それは、①企画立案、②技術指導および技術援助、③教育研修、④普及啓発、⑤調査研究、⑥精神保健福祉相談、➆組織育成である。とりわけ、精神保健福祉相談は、相談員がその任務にあたることになり、その役割は重要である。相談員は「精神保健福祉法48条」により、以下のように定義されている。

都道府県等は、精神保健福祉センター及び保健所に、精神保健及び精神障害者の福祉に関する相談に応じ、並びに精神障害者及びその家族等を訪問して必要な指導を行うための職員・・(中略)・・を置くことができる。

 この定義から、相談員は精神保健福祉センター、もしくは保健所に置かれ、精神障害者や家族を、訪問によって指導・援助する者であることがいえる。

3.精神保健の活動
 相談員の、相談・指導における活動の形態は主に3つある。それは、①精神保健福祉センターや保健所への来所を受けて行われるもの、②自宅を訪問して行われるもの、③電話により行われるものである。
 相談指導の内容については、以下の通りである。まず、心の健康についての相談指導や、診察を受けるに当たっての相談指導、社会復帰のための相談指導などである。いずれも、保健、医療、福祉の広範な分野に渡り行われる活動である。そして相談の結果に基づき、病院、診療所、社会復帰施設などの施設や、自助グループなどへの紹介、福祉事務所、児童相談所、ハローワーク、その他関係機関への紹介、医学的指導、ケースワークなどが行われる。

4.精神保健の課題
 相談員の任用資格については、大学で社会福祉や心理学の課程を修め、精神保健及び精神障害者福祉に関する知識及び経験を有する者、あるいは医師などとされているが、ここでは精神保健の課題を提示する。
 今までの精神障害者に対するアプローチは、医療における治療的側面から行われてきた。調査によると「精神障害者の入院患者数は昭和60年には339,989人であったのが、平成11年には333,294人
」であり、ほとんど減少していないことが伺え、医療的な治療だけでは精神障害者の社会復帰を望めないことが判明している。
 よく「精神障害のある人たちは他の市民とは異なって大量かつ長期にわたって拘禁されやすく、意味のある社会参加への機会が奪われやすい存在であるということである。
」といわれるように、退院後の社会復帰が困難という事例は多い。したがって今後は、精神障害者の社会復帰を目的の1つとしている、医療と福祉の両分野を理解する、精神科ソーシャルワーカーである精神保健福祉士をより多く養成し、相談員として任用していけるかが課題である。

5.結論
 相談員は、その活動の中で様々な専門職者と連携を取る必要があり、その適任は精神保健福祉士であるとしたが、我が国の専門職者は専門分化した代わりとして、各専門領域での調整体制が不足している現状がある。結果として各専門職者は、孤立した状態であり、十分な保健活動が展開できない。
 この問題を解決するには、専門職者を定期的に集め「事例検討会」を実施することである。つまり事例検討会を実施し、各専門職の連携を強化することが精神保健及び精神障害者の福祉に関する対策として不可欠であるということを結論とし、そのための課題を提示する。
 すなわち、①事例検討会の技術に関する指導者の育成、②専門職種間におけるヒエラルキー問題の克服、③討論する技術(ディベーティング)の指導である。これらの課題は精神保健福祉センターが中心となって取り組むものであるといえよう。

【参考文献】
⑴⑶⑷ ミネルヴァ書房『社会福祉小六法』ミネルヴァ書房 2002年 464~475頁
⑵新村出記念財団『広辞苑 第五版電子ブック版』岩波書店 1999
⑸精神保健福祉研究会『我が国の精神保健福祉(平成12年度版)』厚健出版 2000年 525頁
⑹関東弁護士連合会編『精神障害のある人の人権』明石書店 2002年 12頁



■■レポートでは「なぜ、そう考えたのか?」を伝えることが重要■■


医学一般という科目のわりには、福祉的な設題内容となっています。


レポートを書き始めるあたっては、まず設題と学習のポイントを熟読して、クリアしなくてはいけない前提条件を確認することが重要です。


そうしないと、いざレポートを3・4枚書き出したところで、設題基準を満たしておらず、かといって、その矛盾をカバーすることも難しいといったことが起きてしまいます。


一次メモといった形で文章を書いてみるということは、もちろん良いのですが、最初の段階で、結論のところまで考察できていないのに、清書をしようとしても、度々後ろを振り返るがごとく書き直す作業になり、非効率的です。


レポートの論理展開は、それが正しいかどうかよりも「なぜ、そう考えたのか?」ということが伝わるように、根拠を提示していくことが大切です。


この根拠は、ときに無理やりに、とってくっつけたようなものになることもあります。


学生は、まだ専門的知識がある訳ではないので、当然におきる現象です。


でも、教員は、あなたの出した結論に対して、重箱の隅をつつくようなことはないです。


例えば、本設題では、事例検討会を実施するというのが結論として提示していますが、これに対して教員が


「すでに同様の施策は存在します。もっとよく調べて書き直してください。」


などと言って、減点や落第点をつけるようなことはほぼありません。


これは、このレポートでの教員の所見です。

医学一般評価票

このように好意的な評価をしてくれる教員は多数派です。


もちろん、あまりに基準を逸脱した書き方をすれば、当然に不可にせざるをえないケースはあります。


例えば、字数制限を無視して書くとか、全く考察になっていないとか、コピペになっている場合が該当します。


でも、そういう決定的なミスをしなければ大概は合格点のレポートになります。


何故、そういう結論になったのかが説明できていれば、それは尊重すべき意見だからです。


文系のレポートでは、先生の言っていることが全て正しいなんてことはないですよね。


教員もそれは自覚しています。


逆に、あまりに完全な回答を求めてしまうと、時間がかかり過ぎてしまい、単位習得に支障を来しますので、レポート基準を満たしていると判断すれば、それでよしとすることは必要です。

このあたりの感覚は、学生としてレポートたくさん書くことによって、身に付けるこどできるでしょう。


レポート作成の過程で、「なぜそう考えるのか?」の状態に至るには、ある程度教科書や資料を読み込む必要があります。


これは、しなくてはいけないといえる作業ですが、学生には十分な時間がないことが多い。


悩ましい問題ですよね。


その場合は、レポート設題で求められて要る回答部分が教科書のどこに書いてあるのか?


まずは、これを探しましょう。


そして、該当部分を集中的に読み込んでいきます。


他方、関連するニュースを検索して、使える記事はないか考えを巡らせます。


この過程で、ひらめいたアイデアがあればメモしておきます。


こうして、効率的に学習を進めていくことが、結局は王道の方法ということになる訳です。


参考にしてみてください。


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